中学受験に成功する親子とは?
塾側のホンネなんて、成績の良い子がありがたい、ってことに尽きるのでは?!
と思っている保護者の方は多いと思われます。
たしかに塾もサービス産業。利益を生み出してナンボの世界。理想があっても、資金が無ければ、思うような経営はできません。その点、合格実績で塾を選択する顧客が多いこの業界、成績が良い子がありがたがられる、は嘘ではないでしょう。
しかし、コトはそんなに単純ではありません。多くの保護者の方は、中学受験塾の現場を誤解しています。良くも悪くも経営側(管理職含む)と現場側の意識が乖離しているのが、中学受験塾の現状です。
すなわち・・・現場感覚でいえば、損益にはあまり意識が働かず、日々接している子どもがかわいい、仕事に熱意とやりがいをもっている、こういうスタッフ・講師が大多数なのです。
にわかには信じられないかもしれませんが、これはホント。
教えるのが好き、教授法を究めたい!というマニアックな方もいますが、これはどちらかというと大学受験予備校に多い。(かつてワタクシもいた業界です。)
中学受験塾の講師や現場スタッフは、基本、子どもが好きでないと到底勤まるものではない。
子ども嫌いの方にはおそらく相当辛い職場です。
自分のサポートで子どもが合格することをやりがいと感じ、対象となる子どもの成績の良し悪しが子どもへの接し方の基準になることはありません。
自分のがんばりがご家庭の喜びとつながり、その対価としての報酬を得る、それこそがプロなのだと思っている講師やスタッフがほとんどです。まあ、ビジネスマンとしては致命的にオメデタイ。でもそのオメデタサが毎年の感動を生んでいるのも事実なのです。
では、よく講師サイドやスタッフサイドで、評判がよく、受験結果もうまくいきやすい親子の特徴をまとめてみましょう。
中学受験に成功する子供の例
- 言われた課題をこなす子
- あいさつができ、スタッフの働きかけに反応できる子
- 授業後、質問や自習もないのに、ぐずぐず居残って時間をむだにしない子。
- 授業中、一生懸命話を聞き、大事だと思ったことはメモする、授業を大事にしていることが伝わる子
- がんばる子
5が一番のポイント。そう、塾の現場では、けなげに一生懸命がんばる子がスタッフや講師からの評価も高く、結果も伴いやすいのです。
上記のうち、特に1、4、5の一つでもあてはまれば、受験に成功する確率はぐっと高まるはず。
ちなみに春野息子のうち、特に次男は上記5つのうち4つはあてはまりませんでした、ハイ。(あてはまるのは、3!授業が終わったら、最短時間で校舎を出ることが目標の子でした・・・ウーン…。)では親は?
中学受験に成功する親の例
- 保護者会や面談など、塾側の働きかけには応じる
- 提出書類の形式が守られ、期限内に提出する
- 面談時には一方的に話さず、塾側の話を真剣に聞く
- 面談のアドバイスを実行に移す
- こどもの生活管理が行き届いている
全てをクリアするのは到底無理!というワタクシタイプのお母様、それならば、逆にこれだけはやめておこう!NG集なら、お役に立つでしょうか?
親の行動NG編
- 提出物を出さない
- お子さんの家庭環境がみえにくい
- 一方的な要求が多い
- 感情的になりやすい
- 話し合いを持っても、その後それが活かされていない
かんたんな話。手間を惜しんでいてはだめなのです。
子どものために親ができることは何か、常に考え、子どもをかわいがっていることが、態度や表情や行動でうかがえる親。そういう親御さんの子どもは塾としても必死で応援したくなるのです。「なんとかしてくれ」の丸投げが最も嫌われます。
「これだけの努力はしている。その上で、助けてほしい」
という自助努力を「見せる。」「高いお金を払ってるんだから。何とかしてくれよ!」の丸投げでは、結局相手は動きようがないのです。そりゃ、塾は色々言います。「お任せ下さい!」でもそれは何もかも、という意味ではないのです。生活のリズムを整え、学習計画をたてるという、外枠、フレーム作りは親の仕事。
学校説明会に足を運び、必要な書類をそろえ、過去問のコピーにいそしむ、等、事務的な面も親の仕事。生活環境にかかわる部分も親の仕事。そして、子どもの変化に気づくのも親の仕事なのです。塾にお任せ下さい!は「ウチのカリキュラムにしたがって、授業を受け、課題をこなせば、合格できる。ついてきてください!」という話。集中して授業を受けるには睡眠不足はだめです。気力体力もある程度必要。そんな態勢作りまで塾ができるわけがない。モチベーションもそうです。「子どものやる気を引き出してくれるって宣伝で謳ってるじゃない!」それはします。できます。でも完全じゃない。家庭が主導権を握って、塾がサポートする、という意識でないとクレームばかりが頭によぎります。時間とエネルギーの無駄になります。
家庭学習だって、塾からの働きかけには限界がある。
なかなか動かない子どものお尻をぱんぱんするのは、塾側ではなく、本来親の仕事なのです。
受験に主体的にかかわる意識、依存しないで利用する意識、これが必要。
ここを踏み外すと、親子で迷走を始めてしまいます。
それでは利用する価値のある良い塾とは?
利用価値の高い塾のチェックポイント5つ
- 子どもの学習状況、成績を把握し、どこをどう補強すべきかを提案できる
- 学習計画を立てるアドバイスができるor学習計画のモデルを提示してくれる
- 時期別に今なすべきこと、到達目標を具体的に提示できる
- 合格のために必要なことと不要なことを振り分けてくれる
- 学校情報、入試情報に精通し、志望校選定、受験日程を戦略的に提案できる
上記5つに関しての質問、相談は積極的にしましょう。
この5つに関して、自塾の対応がプロとして頼りない、と感じるならば、それは残念ながら利用価値の低い塾に入塾してしまったということ。熱意があっても、スキルが伴わないスタッフ、塾講師は、残念ながらプロとはいえません。早い時期なら撤退!別の塾へ。微妙な時期、遅い時期なら、塾側の与えられるサポートのみを利用して、あとは自助努力で補う。他機関の学習相談やアドバイスを利用する。いずれにせよ、主体的に塾とかかわっていれば、手遅れになる前に気づいて対処できるのです。
主体的に塾と係るコツ
- 志望校合格に向けて、今何をなすべきか、どうすれば実行にうつせるか、具体的方策を明確にしましょう。
- 子どものノート、テキスト、ときどきチェックしましょう
- 今何を学習しているのか、単元についてのかんたんな知識を入れましょう
- 親も中学受験について勉強しましょう
そしてこれらのことについてわからないことがあれば、その都度、塾に聞けばいいのです。
私の座右の銘は「天は自らを助くものを助く」です。自助努力、これなくして人は動きません。あ~~やっぱりモノグサ体質の親の子は不幸なのです・・・(反省)。
春野 陽子のプロフィール
日能研国語講師として、昨年度までの約10年間、主に6年生の中学受験指導を担当。
その間、長男(SAPIX)、次男(日能研→SAPIX→市進)の中学受験を体験。
2012年度から中学受験個別指導塾ドクターの株式会社ドクターに非常勤講師として勤務。