中学受験6ヵ月前の留意点 (ドクター国語通信8月号からの抜粋)
暑い盛りを迎えましたが、皆様におかれましては益々御健勝のことと存じ上げます。夏期講習もいよいよ後半に入っていきます。「夏休み中に飛躍的に成績を伸ばす」という当初の目標は達成できそうでしょうか。初心を忘れず、気を引き締めて残り30日を過ごしていきましょう。
 さて、今年は同じミスを繰り返したり、同じことを何度も指摘されたりする「定着率の低い生徒」が目立ちます。授業中、特に不真面目さを感じさせるわけでもないので不思議に思っていましたが、最近彼らに一つ重大なことが欠けていることに気付きました。
今から数年前、社会が不得意だったある生徒が24時間寝ず食わずで「予習シリーズ」をすべて仕上げ、その結果、苦手を克服しただけでなく、それで入試を成功させた例を見たことがあります。実際に私も試してみましたが、十分可能なことでした。決してこれを奨励するわけではありませんが、こういう「無茶」をしてでも「中学入試を成功させよう」という気迫、情熱が伝わってこないのが、定着率の低い生徒の共通点であり、取り組み方もどこか「他人事」のようであります。そのくせ、実力を遥かに超える学校を第一志望にする生徒が多いのも今年の特徴で、それ自体は悪くありませんが、それに見合った覚悟と実行力が伴わないままトライするというのであれば、ますます厳しさを増す中学入試を「なめている」と指摘されてもやむないところです。勉強量も大切ですが、それが活きるのは根本にある「気持ち」がしっかりしていればこそです。もし自分自身いま一つ情熱がもてないという理由があれば(たとえば、宿題が多く気力が失せている、自分以上に親が張り切り過ぎているのでついていけない、など)それらを克服し、受験生にとって「最後で最大の夏期講習」を目一杯いかしていただければと思います。
―5,6年生の夏期講習について―
夏休み期間中は選択問題を強化します。「選択問題で国語の合否は決まる」というのが通説であり、この考えには私も同意できます。選択問題はどの模試でも正答率が%以上なので、自分の答えが常に多数派に入っていればいいわけです。少数派に入ってしまうのは他者と違った「特殊な考え方」をしてしまうからで、夏講中はそれを徹底的に矯正し、選択問題で外さない思考を今夏中に確立していきます(全学年共通)。そして、6年生は9月以降に行う「記述特訓」にスムーズに移行できればと思います。
既報通り、夏は徹底して漢字・語句に取り組んでいただければと思います。漢字・語句も正答率8割をこえますので、絶対にとりこぼしは許されません。生徒の「本気度」がわかる分野ですので、この結果を見てその生徒の本質を判断していきたいと思います。
中学受験ドクター 国語科