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投稿日:2024年04月05日

テーマ: 社会

ここで差がつく!中学受験に出る女性天皇

みなさんこんにちは。受験Dr.国語・社会科の天野です。

本日4月5日は、「デビューの日」。「ミスタープロ野球」の異名を持つ長嶋茂雄が公式戦デビューを果たしたことにちなみ、その年にデビューした新人を応援する日だそうです。
Dr.の春期講習も最終日となった本日は、間もなく中学デビューを果たす卒塾生達の晴れ姿を想像しつつ、受験学年デビューを果たした皆さんへのエールを込めてお送りします。
今回は前回に引き続き、天皇の名前の漢字から歴史を整理する第2弾、女性天皇編。再び先生と生徒2人の会話形式でお届けします。

 

古代の女性天皇

太郎 「前回、古代の天皇の名前は基本的に死後につけられるって話をしてくれたじゃないですか。」

先生 「うん。漢字のイメージを使って、天武、文武、聖武、桓武の区別はもうできるようになったか?」

太郎 「だいぶ!…ただ、さらに覚えにくい天皇の名前があって、その意味も教えてほしいんですけど、推古天皇と持統天皇と元明天皇の漢字には、どんな意味が込められてるんですか?」

先生 「お、その3人はみんな、飛鳥~奈良時代の女性天皇だね。」

花子 「え、推古天皇以外も女性なの?!」

先生 「うん、男性だと思い込んでいる子も多いみたいだけどね(笑) 日本の女性天皇は10代8人の天皇がいるけれど、飛鳥~奈良時代に集中しているんだよ。」

花子 「へえ!でも、なんで10代なのに8人?1人で2回やった天皇がいるとか?」

先生 「その通り。重祚(ちょうそ)と言って、再登板した天皇が日本では2人だけいるんだけど、いずれも女性天皇。一人は、皇極天皇→斉明天皇(天智天皇の母)、もうひとりが孝謙天皇→称徳天皇なんだよ。」

太郎 「それ、覚えた方が良い?」

先生 「いや、話としてなんとなく知っておくだけで、覚えなくていい。ただ、推古・持統・元明の3天皇は、前回の聖武や桓武ほどの基本ではないけれど、覚えておくと差がつく重要天皇だね。今後女性に関する出題が増えることはあっても減ることはないだろうし、気合い入れてやっていこうか。」

 

推古天皇

太郎 「はい!!最初の推古天皇は、聖徳太子が摂政をした天皇としてなんとか覚えてはいるんですけど、漢字が怪しい時があって…「古いことを推測する」みたいな漢字の組み合わせですね?」

先先 「まさにそういう意味らしい!実は、推古天皇の名前をつけたのは、奈良時代の淡海三船って人なんだけど、この人が生まれる直前にできた『古事記』は、神話の時代から推古天皇までの歴史で…」

太郎 「『古事記』って、できたのは720年だっけ?」

花子 「720年は『日本書紀』じゃない?「なにを編むのか?日本書紀」ってゴロで、“編”纂(へんさん)と「紀」が「ごんべん」でなく「糸へん」であることもかけて覚えるんだったよね。」

先生 「その通り!「ごんべん」の『古事記』は、712年だね。それでね、奈良時代には忘れられかけていた古い時代の出来事=「“古”事」を“推”測するのに役立つ最後の天皇が推古天皇っていう説がある。これより前は同時代の国内の文字記録もほとんどないから、推測するしかなくなるしな。」

太郎 「推古天皇以降は、中国(隋・唐)に倣ってチュウオウシュウケン国家を作っていき、それは『古事記』ができた奈良時代初期に一応完成してるもんね。推古さん以前の日本は全然違う世界だろうしなあ。」

先生 「中央集権国家の漢字が浮かんでないような発音だな…(笑)でも、よく復習してるじゃないか!」

 

持統天皇

花子 「その、中央集権国家を完成に導いた天皇こそ、持統天皇よね?」

先生 「素晴らしい!前回話した天智・天武の後を受けて、孫の文武天皇が成長するのをサポートしながら、初めての本格的な都である藤原京(694年)を作り、天皇を中心とした中央集権国家(律令国家)の総仕上げをした天皇だよ。文武のもとで大宝律令(701年)が完成したのを見届けて亡くなっている(702年)。」

太郎 「じゃあ持統の漢字にもそういう受け継いでまとめるような意味が…?」

先生 「うん。国の“統”一を保“持”するとか血“統”を保“持”するっていうような意味だね。天皇(大王)の地位を、天智→天武のような兄から弟ではなく、親から子・孫に継いでいくという伝統を確立したのが持統天皇。壬申の乱で爆発した天智派と天武派の分裂を統一し、天智・天武両方の血を持った文武天皇に受け継いだんだ。天智の子で天武の奥さんという持統天皇にしかできないことだね。」

花子 「ちょ、ちょっと待って!持統天皇って、お父さんの弟、つまり叔父さんと結婚したってことだよね?!」

先生 「そうだよ。」

花子 「おじさんと結婚かあ…なんか複雑…」

先生 「なんで先生の方をちらっと見て言うんだ?(笑) まあでも、微妙な緊張関係にあったと思われる天智と天武の板挟みになることも多かっただろうから、複雑な悩みはあったと思うよ。」

太郎 「(よくわかってない顔で)なるほどね。そういえば、その2人の血を受け継いだ文武天皇って、天智の智が文になり、天武の武がそのまま武として使われてるような名前にも見えるね!」

花子 「確かに!!太郎くんすごい。ところで、藤原京の時に先生も言っていた「初めての本格的な都とか都城(とじょう)」ってフレーズ、よく問題文でも見るけど、“本格的な”ってどういうこと?」

先生 「ああ、曖昧でわかりにくいよな。まあ簡単に言うと…都っぽい都ってことだな。」

 

花子 「なるほど!ますます曖昧でわかんない!!」

先生 「うっ…手厳しい…しかし2人とも、先生の「なるほど」の使い方を悪用していないか?(笑)まあ、もう少しきちんと言うと、中央集権国家の中央にふさわしいような首都としての区域を作ったってことだね。実は飛鳥時代前半までは、天皇が交代すれば宮※も移動するのが普通だったので都も固定されていなかった。でも、安定した強力な中央集権国家を作るためには、宮のまわりに色々な役所や施設を作り、多くの役人たちを近くに住まわせる必要があるから、何度も移動していたら効率悪いよね?」

※〈神や王様の住まい=宮【みや】〉がある〈場所【こ】※〉を「みやこ(京・都)」と言う。「こ」が場所(処)をあらわすのは、「ここ」「そこ」「どこ」などの例でわかる。

太郎 「確かに。大勢の役人と大量の建物の引っ越しが必要になるもんね。」

先生 「それで、固定された巨大な首都を作っていた中国に学んだわけだ。碁盤目状に区画され、周りを城壁に囲まれた中国の都を「都城(とじょう)」というので、藤原京も初の「本格的な都城」という書き方をしているテキストもあるんだよね。まあ、日本の都の場合、ごっつい城壁はないんだけどね。」

花子 「ところで、持統天皇の藤原京は、結局すぐに引っ越すことになっちゃったよね?694年とかけて向くよ都に藤原京とかいうけど、実はあんまり都に向いてない土地だったとか?(笑)」

先生 「実際、その可能性は高いらしい。すぐ沼みたいになっちゃう水はけの悪い土地だったとか…」

 

元明天皇

太郎 「そこで710年に平城京へ移した元明天皇の出番だね!」

先生 「そう!平城京は、藤原京の宮が京の真ん中にあったのに対し、唐の長安と同じく都の北の端に置かれたことと、右上に張り出した「外京」があることまで知っておくと差がつくよ。そして、元明天皇の「元」の字は、平城京の“元”祖って意味でほぼ間違いない。「明」は聡“明”の意味を込めたり、めでたい漢字だ。」

太郎 「でも、京の元祖だと藤原京と紛らわしいところもあるし…もっと覚えやすくなるイメージとかゴロ合わせとかはないのかな?」

先生 「和同開珎を作らせた通貨の“元”祖※でもあるから、お金が“明”るく輝いているイメージで覚えてもいいかもな。」]

最古の貨幣は天武天皇のときの富本銭だが、これは何に使われたか不明なので、「流通」させるために国が公式に作った最初の「通貨」は和同開珎とされる。

花子 「元始、女性は実に太陽であった…」

先生 「お、明治時代の女性解放運動を引っ張った平塚らいてうの言葉じゃないか!それは実際は日本の最高神の天照大神が女神様であることを言ってるって話だけど、元明天皇の元と明に当てはめても面白いね(笑) あとさ、ゴロ合わせで言えば「なんと大きな平城京」って有名なのがあるけど、実は平城京は藤原京より小さいんだよね。元明天皇もからめて、もっといいゴロ合わせ作ってくれないかな?」

太郎 「生徒に丸投げ?!先生、キューリョードロボー(笑) …でも、まあ、うん、ここは太郎様の腕の見せどころ………整いました!平常、京子は暗いけど、なんと 元々明るい子。」

先生 「おお!平城京と710年と元明天皇全部入れてきたな。すばらしい。」

 

 

いかがでしたでしょうか?最後に、前回の天皇とあわせて、まとめておきましょう。本日の女性天皇は、赤字にしてあります。

 

古代の天皇の名前を覚えるポイント

古代の天皇の名前を覚えるポイント

 

それでは、またお会いしましょう。

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