みなさん、こんにちは!受験ドクター算数科のA.K講師です。
今回は、「場合の数」の分野でよく問われる、カード並べの問題における倍数の見分け方に
ついて話をしたいと思います。
「1,2,3,4,5のカードがそれぞれ1枚ずつあります。この中から3枚を並べて、3ケタの数を
作る時に3の倍数は何個できますか?」
こういった問題を解くときに、3の倍数を全て探し出して書くのは骨が折れますし、何より
数え漏れが確実に起こります。
ですので、数え漏れを少しでも防ぐための手段として、どんなカードを使った時にどんな倍数が
作れるのか、という点に着目をして以下のような場合分けをしていくわけです。
2の倍数…1の位が0,2,4,6,8のいずれか
3の倍数…それぞれの桁の数の和が3の倍数
4の倍数…下2桁が00,04,08か4の倍数
5の倍数…1の位が0,5のいずれか
6の倍数…2の倍数かつ3の倍数
8の倍数…100の位が1,3,5,7,9で、下2桁が8の倍数でない4の倍数 か
100の位が2,4,6,8で、下2桁が8の倍数か00
9の倍数…それぞれの桁の数の和が9の倍数
上記に挙げたものの中で、8の倍数以外はよく問題として利用されることが多いので、
必ず知識として頭に入れておく必要があります。
ただ、なんでそうなるのか?を知らない人は多いでしょう。
今回は、その理由をそれぞれの倍数について紹介していきたいと思います。
まず、2の倍数と5の倍数について。
これは簡単ですね。2の倍数は順に並べると2,4,6,8,10,12,14,16,18,20…と
なりますから、1の位が必ず0,2,4,6,8のいずれかになります。
5の倍数は順に並べると5,10,15,20,25,30…となりますから、
1の位が必ず0,5のいずれかになります。
これは2が10の約数であることから、2の倍数である2に10を足した12、
また12に10を足した22…も2の倍数となるからです。
(これは0,4,6,8においても同様ですし、5の倍数についても同じことが言えることが分かりますね)
続いて3の倍数と9の倍数について。
作る数を仮にABC(3桁)としましょう。ABCは、A×100+B×10+C×1となります。
(例を挙げると、227=2×100+2×10+7×1)
少し数学的な話になってしまいますが、式の変形を考えます。
A×100+B×10+C×1=(A+B+C)×1+(A+B)×9+A×90=3の倍数 となります。
(この変形が少し分かりづらい場合は、Aが100個、Bが10個、Cが1個あるので、AとBとCの
ペアは1つ、AとBのペアは9つ…と考えていくと良いでしょう)
(A+B+C)×1+(A+B)×9+A×90の中で9も90も3の倍数ですから、A+BやAがどんな
数であっても、(A+B)×9+A×90は必ず3の倍数になります。(これは9の倍数でも同じです)
したがって、1が3の倍数でない以上は(A+B+C)×1が3の倍数にならなくてはいけないので、
A+B+C=3の倍数になる、つまりそれぞれの桁の数の和が3の倍数になるわけです。
なお、3桁以外の数については、皆さんの柔軟な頭でぜひ考えてみてくださいね!
6の倍数は6=2×3ですので、3の倍数を先ほどお話しした見分け方を使って探したあと、2の
倍数を1の位に着目して探すようにしましょう。
最後に、4の倍数と8の倍数です。
例をとりましょう。28も、128も、228もすべて4の倍数です。
28は4の倍数ですから、それに100(これも4の倍数)をたした128も4の倍数です。
さらに100を足した228も4の倍数となりますよね?
先ほどの2の倍数や5の倍数と同じ考え方で説明できるわけです。
したがって、下2桁が4の倍数であれば(00,04,08含む)、その数は4の倍数になります。
8の倍数については少し条件が複雑です。同じように例をとっていきます。
順に並べると、
0,8,16,24,32,40,48,56,64,72,80,88,96,
104,112,120,128,136,144,152,160,168,176,184,192,
200,208,216,224,232,240,248,256,264,272,280,288,296,
304,312,320,328,336,344,352,360,368,376,384,392…きりがないのでこの辺で止めておきます(汗)
赤字の数を下2桁の数に着目して見てみましょう。8の倍数の繰り返しになっています。
そして縦に見比べると、数字が200増えていることがわかります。
例えば8の下の段はは208となり200差があります。
これは、8自体が8の倍数なので、同じく8の倍数である200を足した208もまた8の倍数になっているんです。
青字の数も見てみましょう。104に200を足した304はきちんと8の倍数になっていますね!
以降は200を1つの周期として決まった動きが繰り返されていきます。
まとめると、
・100の位が2,4,6,8で下2桁が8の倍数になっているとき
・100の位が1,3,5,7,9で下2桁が8の倍数でない4の倍数になっているとき
はその数が8の倍数になるということです。
今回の内容はいかがでしたか?普段自分が何気なく使っている知識でも、理由があるのと
ないのとでは全然違いますよね。
…ということで、本日のまとめ。
・2・3・4・5・6・9の倍数の見分け方は、必ず頭に入れておこう!
・その見分け方には「周期」の考え方が根底にある
次回は引き続き、算数のなぜなぜ?を解明していこうと思っていますので、乞うご期待。
今回はこの辺で失礼いたします。
それではまた、近いうちにお会いしましょう。