みなさん、こんにちは。受験ドクター算数科のA.K講師です。
今回は、立体図形の単元における回転体。そのアプローチの方法について入試問題を用い、前回の続きとして後半をお伝えしていければと思います。
こんな問題を出しましたね…憶えていますでしょうか?
【問題】(広尾学園中学校2019年度第1回入試大問5より)
(1)(図1)において、辺CDを軸として1回転させてできる立体の体積を求めなさい。
(2)(図2)において、辺CDと平行で、辺CDから1㎝離れた直線を軸として1回転させてできる立体の体積を求めなさい。
(3)(図3)において、辺CDと平行で、辺CDから□㎝離れた直線を軸として1回転させてできる立体の体積を求めたところ、471㎤でした。□に入る数を求めなさい。
(1)と(2)については、もうお伝えしましたので、(3)について今日はお話ししたいと思います。
では、(図3)を1回転させて出来る立体を作図してみましょう!前回のポイントである、
全体をいきなり作図、ではなく1つ1つの点を作図して形を完成させる
を確実に守ってくださいね。
上図のようになり、完成形は次のようになります。
底面が半径□+1㎝の円で高さが10㎝の円柱から、底面が半径□㎝の円で高さが10㎝の円柱をくり抜いた立体となります。体積が471㎤なので、底面積は471÷10=47.1㎠です。
底面は上図のように、半径が□+1㎝の円から半径が1㎝の円をひいたものになります。これを式にすると(□+1)×(□+1)×3.14-□×□×3.14=47.1㎠=15×3.14となり、(□+1)×(□+1)-□×□=15です。半径×半径は平方数ですから、隣り合った平方数同士の差が15で、それぞれの半径の差も1㎝になるようなものを探せばよいことになります。(例えば、小さい円の半径が1㎝であれば、大きい円の半径は2㎝なので平方数同士の差は2×2-1×1=3となる)これを整理してみると、以下のようになります。小円の半径が0㎝ということは実際はありませんが…
表にしてみるとお気づきの方もいらっしゃるのではないでしょうか??
半径が1㎝違う場合は、平方数同士の差は奇数になるのです!
それ以上に、すごい規則があることを発見した方はいらっしゃいませんか・・・
表のどこでもいいのですが、縦に並んだ数字を見てみてください。
小円の半径の数字と大円の半径の数字を足し合わせたものが、なんとそのまま平方数同士の差になっているのです!!
この規則をうまく利用してしまえば、小円の半径と大円の半径の和=平方数同士の差で15、そして小円の半径と大円の半径の差が1なので和差算で両方とも求めることが出来ます。
よって、求めるべきなのは小円の半径なので(15-1)÷2=7㎝が答えとなります。表を書いて条件を整理し、規則を見つけることがいかに大切であるか、お分かり頂けたのではないでしょうか。立体図形の単元の問題でしたが、実は規則性の単元の考え方が潜んでいるということもあるんですね。
それでは、この辺で今回の内容の総括に移りたいと思います。
~本日のまとめ~
・平方数を1×1、2×2、3×3…と順番に並べてみると、各々の差は1、3、5、…と奇数になっている。
・頭の中だけで思い描くのではなく、表を書いて条件を整理することで見える規則もある。
では、今回はここまで。
次回は、入試問題からいったん離れ、また私の作成した新作の問題をお目にかけたいと思います!
ではまた、お会いしましょう♪