こんにちは。
受験Dr.算数科講師の千葉 誠と申します。
各塾で新学年でのカリキュラムがはじまり1週間が経ちました。
新学年では学習量も増え、内容も難しくなっていきますが、志望校合格へ向けて頑張っていきましょう。
さて、今回は各学年の前期に学習することの多い「数の性質」の単元から、
「倍数・約数の問題」について触れさせていただきます。
「数の性質」では言葉の意味を正確に理解することが重要です。
まずは「倍数・約数の問題」に関する言葉を確認しておきましょう。
「倍数」・・・「Aの倍数」とは、Aを整数倍した数
例:「2の倍数」→2の整数倍→2×1=2,2×2=4,2×3=6,・・・
「3の倍数」→3の整数倍→3×1=3,3×2=6,3×3=9,・・・
「公倍数」・・・2つ以上の整数の共通の倍数
例:「2と3の公倍数」→2と3の共通の倍数(2の倍数でもある3の倍数)→6,12,18,・・・
「最小公倍数」・・・最小の公倍数
例:「2と3の最小公倍数」→2と3の公倍数で最小の数→6
「約数」・・・「Aの約数」とはAを割り切れる整数
例:「12の約数」→12を割り切れる整数→1,2,3,4,6,12
「18の約数」→18を割り切れる整数→1,2,3,6,9,18
「公約数」・・・2つ以上の整数の共通の約数
例:「12と18の公約数」→12と18の共通の約数→1,2,3,6
「最大公約数」・・・最大の公約数
例:「12と18の最大公約数」→12と18の公約数で最大の数→6
次に、押さえておくべき性質をいくつか紹介します。
・「AはBの倍数⇔BはAの約数」
例:18は6の倍数⇔6は18の約数
・「Aの倍数同士の和と差もAの倍数になる」
例:21と56はどちらも7の倍数
21+56=77・・・7の倍数
56-21=35・・・7の倍数
・「公倍数は最小公倍数の倍数」
例:2と3の公倍数6,12,18,・・・は、2と3の最小公倍数である6の倍数
・「公約数は最大公約数の約数」
例:12と18の公約数1,2,3,6は、12と18の最大公約数6の約数
これらの性質は、言われれば当たり前に感じる人も多いと思います。
しかし、応用レベルの問題を解くにあたっては、これらの性質を自然に連想できる状態にする必要があります。
実際にこれらの性質を利用して問題を解いてみましょう
問題
アメが92個、チョコが128個、ガムが218個あります。
何人かの子供にアメ、チョコ、ガムを平等にできるだけ多く配ったところ、
アメ、チョコ、ガムが同じ個数ずつ余りました。
子供の人数として考えられる数をすべて求めなさい。
解説
子供の人数を㋐人、余った個数を㋑個とします。
それぞれの個数から余った個数を引いたものは配った個数になります。
平等に配っているので配った個数は㋐の倍数となります。
よって92-㋑、128-㋑、218-㋑はそれぞれ㋐の倍数。
ここで「Aの倍数同士の差もAの倍数」を使います。
92-㋑と128-㋑の差は128-92=36・・・㋐の倍数
128-㋑と218-㋑の差は218-128=90・・・㋐の倍数
「AはBの倍数⇔BはAの約数」を使うと、
36は㋐の倍数⇔㋐は36の約数
90は㋐の倍数⇔㋐は90の約数
つまり㋐は36と90の公約数となります。
「公約数は最大公約数の約数」を使うために最大公約数を求めると、
36と90の最大公約数は18
よって㋐は18の約数1,2,3,6,9,18が考えられます。
しかし㋐=1,2の場合は、余りが出ないため問題文に反します。
よって㋐=3,6,9,18
いかがでしたでしょうか。
もう一度手順を振り返ってみましょう。
同じ個数ずつ余るので、はじめの個数の差が配った個数の差となります。
配った個数は子どもの人数㋐の倍数となることから、
まず、「Aの倍数同士の差もAの倍数」を使って、
36、90は㋐の倍数とわかりました。
次に、「AはBの倍数⇔BはAの約数」を使って、
㋐は36、90の公約数とわかりました。
最後に、「公約数は最大公約数の約数」を使って、
㋐として考えられる数を求め、問題文に反するものを除けば完了です。
このように、次々と性質を利用することで解答までたどりつくことができました。
「数の性質」では、問題ごとの解法を覚えるだけでなく、こういった様々な性質を理解し、自然に使えるよう慣れ親しんでいくことが効率的な学習のカギとなります。
ぜひ皆さんの日々の学習の参考にしていただければと思います。
それでは、失礼いたします。