こんにちは。
受験Dr.算数科講師の千葉 誠と申します。
新学年での学習が始まりしばらく経ちました。
新学年のはじめの時期は、内容が難しくなったことで成績が下がってしまうお子様も珍しくありません。
ご家庭から「どのように学習を進めていけばよいでしょうか?」といった相談が増える時期でもあります。
そこで今回は、学習習慣を改善するにあたって指針となる考え方を3つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.~「勉強」を「競技」として考える~
中学受験生にとって「勉強」は「テストで合格点を取る」という課題を解決する「競技」と言えます。
では「勉強」が上手くなるために何をすればよいでしょうか。
サッカー選手を考えてみましょう。
プロの選手であれば、基礎体力をつけるためのトレーニングや、ドリブルやパス、シュートなどの基本動作の練習は毎日やっているでしょう。
また、試合から自らの苦手な動作・状況、逆に得意な動作・状況を発見し、弱点の克服や強みさらに伸ばすための練習に取り組んでいるはずです。
「勉強」も同じように考えましょう。
算数であれば「計算力」が「基礎体力」に、「一行問題や典型題の反復」が「基本動作」にあたります。
これらの正確性とスピードを上げるトレーニングは毎日やるべきでしょう。
また、すべてのテストを「試合」と考えれば、テストで全力を出すという意識はもちろんのこと、テスト結果から自己分析を行い、改善点を発見しようという意識を持つことができます。
自らが「勉強選手」であるという自覚を持って日々の取り組みを見直せば、自然と足りていなかった部分が見えてくると思います。
2.~評価なくして改善なし~
「PDCAサイクル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
自己改善手法のひとつで、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとったものです。(※Actionは一般的に「行動」と訳されますが、ここでは「改善行動」を指します。)
たとえば、算数のテストでこの「PDCAサイクル」を用いることを考えると
Plan(計画)・・・「○○算」と「××算の」が範囲のテストで80点以上取れるよう勉強する。
Do(実行)・・・計算と小問集合で得点できるよう、計算練習と基本問題の反復に時間をかける。
Check(評価)・・・70点だった。計算は取れたが、小問集合の「○○算」で正答率50%以上の問題を2問落とした。「××算」は正答率の低い問題も解けた。後半の大問はほとんどできなかった。
Action(改善)・・・計算練習の時間は維持。苦手な「○○算」に時間をかけ、得意な「××算」は応用問題まで取り組み、後半の大問での得点も目指す。
といった具合です。
このサイクルの中で重要なのがCheck(評価)です。
Check(評価)のクオリティが低いと、Action(改善)が十分に行えず、次のPlan(計画)を効果的に変えていくことができません。
改善のためには、現状を正確に把握することが必要です。
そのために、1日の学習内容を分類し「何を、何分で、どこまで」行ったのか記録するようにしましょう。
そして、テスト結果の分析時にこの記録を振り返ります。
できていなかった部分について、どれだけ学習していたのか確認すれば、「苦手な問題の練習が足りていなかった」、「取り組めていない問題があった」、「根本的に学習時間が短かった」など、改善点が見つけやすくなります。
3.~睡眠時間は確保せよ~
これは特に6年生に注意していただきたいのですが、6年生になって学習量が大幅に増えた結果「寝る間も惜しんで勉強」している生徒を多く見かけます。
たしかに、日々の学習をこなすための時間を捻出するのが難しく、睡眠時間を削らなければならないという状況も理解できます。
しかし、結果なにが起こるかといえば、
新しいことを学んで最も学力伸びる時間であるはずの授業では眠くて集中できない。
家での復習も頭が回らず、時間ばかりかけてなかなか進まない。
最悪の事態です。
日本では睡眠不足のリスクは軽視されがちですが、睡眠の研究が盛んなアメリカでは「6時間睡眠を2週間続けると、集中力や注意力が2日徹夜した状態とほぼ同じになる」といった結果が発表されています。
集中力だけでなく、免疫力の低下も体を大事にしたい受験生にとって見過ごせません。
もし、睡眠時間を削らないと勉強が終わらないという状況になったときは、迷わず睡眠を優先してください。
とはいえ、必要な睡眠時間は個人差が大きいので、現状の睡眠時間で元気に勉強できているなら問題はありません。
もし、学校や塾から帰ってきてすぐ眠くなるようであれば、睡眠不足のサインですので、時間の使い方を見直して、十分な睡眠時間を確保できるようにしましょう。
今回は
1.「勉強」を「競技」として考える
2.評価なくして改善なし
3.睡眠時間は確保せよ
という3つの考え方を学習習慣改善の指針として紹介させていただきました。
皆様のこれからの学習の一助になれば幸いです。
それでは、失礼します。