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投稿日:2024年12月13日

テーマ: 算数

過去問を解いた後は? より効果的な分析のやり方 【中学受験算数】

こんにちは。
受験Dr.算数科講師の千葉 誠と申します。

12月半ばとなりました。
2月1日まで残り50日。6年生であれば過去問演習・志望校対策の真っ最中でしょう。
過去問を9月から毎週1回分進めていればすでに15回分。第一志望校の2週目に入っている方も多いと思います。
過去問演習は、「時間を測って解く」→「採点」→「分析」→「対策」の4ステップで行います。
皆さんは過去問を採点した後、どのように「分析」をしていますか?
過去問は受験生であれば誰もが取り組みますが、その効果は「分析」のクオリティによって大きく変わってきます。
ただ解くだけの「やりっぱなし」では何回解いても志望校合格には近づきません。
「過去問の点数がなかなか伸びない」といったお悩みを持つご家庭ではこの「分析」のやり方に問題があることが多いです。
今回は過去問演習をより効果的にするための「分析」のやり方についてお話させていただきます。

 

1.「時間不足だった問題の解き直し」

まず採点後に、時間不足で解けなかった問題の解き直しをします。ここでも時間を測ってください。
解き直しで正解できた問題については、「時間不足」が失点原因になりますので、「時間を作る」ための対策が必要になります。
例えば、解き直しで5分かかって正解できたのであれば、その5分を生み出すために、「計算・一行題のスピードを上げるためにドリルに取り組む」といった学習面での対策や、「問題の解く順番を変える、大問の最後は捨てる」といった戦略面での対策が考えられます。

 

2.「苦手の細分化」

時間があっても解けなかった問題については、解けなかった原因を分析します。
解けない原因は大きく3つに分けられます

A.解法は正しいが、計算ミスや転記ミスで間違えた
B.途中までは解けたが、何かの解法や知識が身についていないため解けなかった
C.まったく手が付かなかった

Aはいわゆる「ケアレスミス」ですが、「ケアレスミス」だけで済ましてはいけません。
例えば計算ミスであれば、どのような計算のどの部分でミスしたのかまで分析します。
「計算ミスが多いから計算練習を増やす」という対策では、本当に苦手な計算にフォーカスできていないので無駄が多くなります。
「苦手な分数と小数の混ざった計算の練習をする」というようなより具体的な対策をたてるために、苦手を細分化してみましょう。

BやCの問題についても同様に細分化をした方が良いのですが、算数は1つの単元にかなり多くのテーマが混ざっていることもあるので分析は複雑になりますし、細かく分析しようとすると専門性が必要になってきます。
なので、ご家庭では最低限「赤本の出題分野分析表」レベルまでは細分化することをおすすめします。
赤本は解説部にどの問題がどの分野に当たるのか書いてくれているので、これを記録していくだけでも対策の具体性はぐっと上がります。
今回は実際の入試問題と赤本の解説を例に、より詳しい分析の一例を紹介しますので、参考にしてみてください。

【問題】慶應義塾普通部2022年度入試問題より抜粋
1から100までの整数を使って、50個の分数 1/2,3/4,5/6,・・・,97/98,99/100 をつくりました。
これらの分数を小数にしたとき、割り切れるものはいくつありますか。
例えば、1/4 を小数にすると0.25となり割り切れますが、1/3 は0.333・・・となり割り切れません。

【解説】赤本より抜粋した解説を簡略化
例えば、0.25×100=25より、1/4 を100倍すると整数になるが、これは4が100の約数だからである。
このように、分母が10,100,1000,・・・の約数のときに割り切れることになり、
10=2×5 , 100=2×2×5×5 , 100=2×2×2×5×5×5 , ・・・より、
分母は2か5だけをかけ合わせた数とわかる。
2から100までの偶数のうち、
2だけをかけ合わせた数は、2,4,8,16,32,64の6個あり、
2と5だけをかけ合わせた数は、10,20,40,50,80,100の6個ある。
よって、6+6=12(個)

解説を読むと、この問題を解くためには赤線で示した「分母が10,100,1000,・・・の約数(2か5だけをかけ合わせた数)のときに割り切れる」という知識と、その条件にあてはまる数を調べ上げる作業が必要だということがわかります。

この問題がBの途中まで解けた問題にあてはまる場合、調べ上げの途中で間違えていることになるので、対策は「分数の性質」に限らず「調べ上げ」の問題を練習することによる作業力の強化になります。

Cのまったく手が付かなかった問題である場合は、赤線の部分の知識が入っていないということなので、対策は「数の性質」分野で同様の知識を利用する問題を練習することによる知識の定着になります。

このように、同じ問題でも分析によって見えてくる「苦手」は異なります。
解説を読んで解けなかった原因を分析するのは、それ自体が非常に良い学習になるので、子ども自身に自らの「苦手」を分析してもらうのも良い方法だと思います。

今回は過去問の分析についてお話させていただきました。
「苦手の細分化」はご家庭で行うには難しい部分もあると思いますが、ここが過去問演習をより効果的にするための最も重要な部分でもあります。
お困りの際は、ぜひ我々プロ講師をお頼り頂ければと思います。

それでは、失礼いたします。

算数ドクター