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投稿日:2021年04月30日

テーマ: 算数

多面体の辺の本数を計算で…

みなさん、こんにちは。
受験ドクター算数科の江田です。

前回まで2話連続で
「立体の展開図」についてお話をしてきました。

そして前回のお話の最後に1つ問題をお出ししました。

下の図のような、
正三角形20個でできている「正二十面体」の展開図を作るためには
全部で何本の辺を切る必要があるのか

2021_0430_blog1

いかがでしょうか。
求められましたか?

もちろん、
「すべての辺の数 - 切ってはいけない辺の数」
という流れで考えていきます。

さて、ここで少し悩むのは
「すべての辺の数」
ではないでしょうか。

この立体の辺は全部で何本あるのでしょうか。

そう、今回のブログは
「多面体の辺の本数の求め方」
がテーマです。

今回、見取り図が与えられていますので
なんとかかぞえることも可能かも知れませんね。

ですが、ここはやはり「計算で」求めていきたいところ。

そこで必要となるのが
「のべ数」
という考え方です。

のべ数とは?

「のべ」ということば、
聞いたことがあるかと思います。

では「のべ」とは何でしょう?

この質問を生徒に質問すると
返ってくる答えで多いのが
① 合計
② およその数
の2つ。

残念ながらどちらも不正解。
なんとなく気持ちはわかりますけどね♪
特に①はだいぶ正解に近いのですが…。

たとえば
「東京ディズニーランドの年間入園者数はのべ3000万人」
だそうです。

たしかにこの表現では「およそ」の表現になっていますが、
「のべ」の正確な意味は、
「同じもの(人)を何回もダブって数えた合計」
なのです。

そりゃそうですよね。
本当に3000万人の人が1年間に入園していたら、
日本国民およそ1億2000万人として
「日本国民の4人に1人が毎年1回東京ディズニーランドに行っている」
ということになってしまいます(笑)。

実際にそんなことはなく、
たとえばディズニーランドが好きすぎて、年間パスポートを購入し
「1年間365日毎日ディズニーランドに行く」
という人がいた場合、
この人は
「同じ1人の人なのに、年間入園者数としては365回数えられている」
わけです♪

いかがですか。
なんとなくつかめたでしょうか。

さて、今回の辺の数も
まずは「のべ数」を考えていきましょう!

解説

辺が3本ある正三角形が20個集まってできている立体ですから、
単純に考えて全部で
3×20=60(本)
ありそうですよね。

これが「のべ数」です。

なぜなら、実際には
「このうちの何本かは、同じ辺を何回かダブって数えているから」
です。

では、いったいどれだけダブって数えているのでしょうか。
下の図を見てください。
2021_0430_blog2

図の●印のついた辺は
番号をつけた2つの面に共通な辺なので、
2回数えられていることがわかります。

他の辺はどうでしょう。
2021_0430_blog3

▲印のついた辺も同様に2回数えられていますね。

他の辺たちもすべて
2回ずつ数えられている
ことがおわかりになるかと思います。

まぁ、それはそうなんですけどね。
なぜなら
辺は“面と面をつなぐ”ためにあり、
“1つの辺でつなぐことができるのは2面”ですから、
どの辺も2回ずつ数えられているはずなんです。

ということで、先ほど求めた60本というのべ数は、
本来数えたい辺すべてが2回ずつ数えられた結果の合計数なので、
実際の辺の本数は
60÷2=30(本)
と求まるわけです♪

そして、「切ってはいけない辺の数」は
「面の数-1」で求められますから、

20-1=19(本)
が「切ってはいけない辺の数」となり、

「正二十面体」の展開図を作るためには、全部で
30-19=11(本)
の辺を切る必要があるとわかりました!

いかがでしたか。

非常に難易度は高い問題なのですが、
「理屈がわかりさえすれば意外と簡単かも♪」
と感じてもらえると嬉しいです(^^)

今回の問題、
難関校の実際の入試問題でも目にするものですので、
是非お子様にもご覧いただければ、と思います。

それではまた次回お会いしましょう!!

算数ドクター