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投稿日:2017年07月03日

テーマ: 算数

弁償算を面積図で攻略!!

みなさん、こんにちは。受験ドクターのEです。

目で視る算数、今回は面積図を使った弁償算攻略法を紹介しましょう。

花子と太郎がじゃんけんゲームをしました。勝ったら3段上がり、負けたら1段下がるというルールで
20回じゃんけんをしたところ、花子さんははじめの位置よりも24段上がったところに着きました。
花子さんは何回勝ちましたか? ただしあいこは回数にいれないものとします。

つるかめ算の応用編として紹介されることも多いのが弁償算です。
つるかめ算との共通点は、「一方におきかえて考える」という発想です。
全部勝ったとすると60段上がることになるのに、24段上がったところにいるということは・・・
というふうに考えていきますが、これをおきかえの発想ではなく面積図でそのまま整理すると
どうなるのか、見ていきましょう。

与えられた情報を整理してみると
花子さんは20回のうち何回かは勝ち、何回かは負け、その結果24段上がったところに着きました。
つまり「3段上がる」が何回かあり、「1段下がる」も何回かあり
上がった段数の合計から、下がった段数の合計を引くと24段になっている、という場面です。

ここで材料になるのは以下の2つの面積図です。

弁償算を面積図で攻略1

さあ、情報の「見える化」を進めていきましょう。
まず、「あわせて20回」は、この図では2つの長方形の「横の長さの合計」ですから
「横の長さの和」を見える形にするために、2つの面積図をくっつけてならべます

すると下に示したような形になりますね。

弁償算を面積図で攻略2

次に、上がった段数の合計と、下がった段数の合計の差が24段、という情報も「見える化」していきましょう。

2つの長方形の「面積の差」ですから、2つの長方形を
どこかの角をそろえて重ねるように配置するのが原則です。

ここでは、重ねたときにはみ出した部分が面積の差を意味します。

ところが、困ったことが起こりました。

回数の「和」を見やすくするには、2つの面積図を並べた方が良いのですが
面積の「差」を見やすくするには、2つの面積図を重ねなければなりません。

ですが、この2つの作業を同時に行うことはできませんね。

あちらを立てればこちらが立たず
こちらを立てればあちらが立たず・・・

何か良い方法はないでしょうか?
大概の人はここで面積図を使うのを諦めます。

とぅおころがっ! 面積図マスターはこの難題をあるワザで切り抜けるのです。

それが「面積の差」を表す、もう1つの方法です。

弁償算を面積図で攻略4

まず、「横の和」のために2つの面積図を並べたままで、一方を「地下」に潜らせます。

弁償算を面積図で攻略5

まだこのままでは2つの面積図を重ねた状態にはなっていませんね。
重ねないと「差」は見えてきません。

そこで、「拡げて」重なりを作り出します。
下の☆マークの部分に注目してください。

弁償算を面積図で攻略6

×の差は、(+☆) と (×+☆) の差と同じになっていることに
気が付くでしょうか?
どちらにも共通の「☆」を付け足したので
差は変わっていませんね。

弁償算を面積図で攻略7

この視点が持てたら、もう「見える化」は成功です。

弁償算を面積図で攻略8

弁償算を面積図で攻略9

弁償算を面積図で攻略10

これで、負けたのが9回、勝ったのが11回だとわかりましたね。

目で視る算数、今回は面積図を使った弁償算攻略法を紹介しました。
普段は面積図を使わないような場面でも、実は面積図で整理する方法があります。

面積図に整理することで、題材が変わっても「同じ方法」で解き進めることができるというメリットもあります。
問題文通りに図を描いてみたら、結果的に「見覚えのあるパターン」ができあがっていた。

そんなふうに使いこなせたらいいですね。

最後に、同じテーマで題材を変えて見てみましょう。弁償算は個数のある売買の問題でも頻出です。

徳田商店では20個の宝石に3万円の利益を見込んで定価をつけていましたが、売れ残ったものを
閉店セールで原価より1万円も安い値段で販売したところ、全部売れて、利益は24万円になりました。
定価で売れた宝石は何個ですか?

1個あたりの損得に注目すると、下のような情報が読み取れますね。

弁償算を面積図で攻略11

そこで、「横の和」と「面積の差」の両方を同時に見える形にすると
こうなります。

弁償算を面積図で攻略12

そう。題材はまったく異なりますが、同じテーマ、同じ論点の問題だということがわかりますね。

和は並べる
差は重ねる
同時に実現できないときは「拡げて」重ねる

ぜひ面積図を用いた情報整理の際にお役立て下さい。

算数ドクター