みなさん、こんにちは。受験ドクターのEです。
目で視る算数、今回は面積図を使った弁償算攻略法を紹介しましょう。
20回じゃんけんをしたところ、花子さんははじめの位置よりも24段上がったところに着きました。
花子さんは何回勝ちましたか? ただしあいこは回数にいれないものとします。
つるかめ算の応用編として紹介されることも多いのが弁償算です。
つるかめ算との共通点は、「一方におきかえて考える」という発想です。
全部勝ったとすると60段上がることになるのに、24段上がったところにいるということは・・・
というふうに考えていきますが、これをおきかえの発想ではなく面積図でそのまま整理すると
どうなるのか、見ていきましょう。
与えられた情報を整理してみると
花子さんは20回のうち何回かは勝ち、何回かは負け、その結果24段上がったところに着きました。
つまり「3段上がる」が何回かあり、「1段下がる」も何回かあり
上がった段数の合計から、下がった段数の合計を引くと24段になっている、という場面です。
ここで材料になるのは以下の2つの面積図です。
さあ、情報の「見える化」を進めていきましょう。
まず、「あわせて20回」は、この図では2つの長方形の「横の長さの合計」ですから
「横の長さの和」を見える形にするために、2つの面積図をくっつけてならべます
すると下に示したような形になりますね。
次に、上がった段数の合計と、下がった段数の合計の差が24段、という情報も「見える化」していきましょう。
2つの長方形の「面積の差」ですから、2つの長方形を
どこかの角をそろえて重ねるように配置するのが原則です。
ここでは、重ねたときにはみ出した部分が面積の差を意味します。
ところが、困ったことが起こりました。
回数の「和」を見やすくするには、2つの面積図を並べた方が良いのですが
面積の「差」を見やすくするには、2つの面積図を重ねなければなりません。
ですが、この2つの作業を同時に行うことはできませんね。
あちらを立てればこちらが立たず
こちらを立てればあちらが立たず・・・
何か良い方法はないでしょうか?
大概の人はここで面積図を使うのを諦めます。
とぅおころがっ! 面積図マスターはこの難題をあるワザで切り抜けるのです。
それが「面積の差」を表す、もう1つの方法です。
まず、「横の和」のために2つの面積図を並べたままで、一方を「地下」に潜らせます。
まだこのままでは2つの面積図を重ねた状態にはなっていませんね。
重ねないと「差」は見えてきません。
そこで、「拡げて」重なりを作り出します。
下の☆マークの部分に注目してください。
○と×の差は、(○+☆) と (×+☆) の差と同じになっていることに
気が付くでしょうか?
どちらにも共通の「☆」を付け足したので
差は変わっていませんね。
この視点が持てたら、もう「見える化」は成功です。
これで、負けたのが9回、勝ったのが11回だとわかりましたね。
目で視る算数、今回は面積図を使った弁償算攻略法を紹介しました。
普段は面積図を使わないような場面でも、実は面積図で整理する方法があります。
面積図に整理することで、題材が変わっても「同じ方法」で解き進めることができるというメリットもあります。
問題文通りに図を描いてみたら、結果的に「見覚えのあるパターン」ができあがっていた。
そんなふうに使いこなせたらいいですね。
最後に、同じテーマで題材を変えて見てみましょう。弁償算は個数のある売買の問題でも頻出です。
閉店セールで原価より1万円も安い値段で販売したところ、全部売れて、利益は24万円になりました。
定価で売れた宝石は何個ですか?
1個あたりの損得に注目すると、下のような情報が読み取れますね。
そこで、「横の和」と「面積の差」の両方を同時に見える形にすると
こうなります。
そう。題材はまったく異なりますが、同じテーマ、同じ論点の問題だということがわかりますね。
和は並べる
差は重ねる
同時に実現できないときは「拡げて」重ねる
ぜひ面積図を用いた情報整理の際にお役立て下さい。