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投稿日:2021年07月12日

テーマ: 算数 / 理科

素数ゼミの生き残り術

みなさんこんにちは。
理科・算数担当のT.H.です。

2021年の入試は「 2021 = 43 × 47 」と、連続する素数の積であらわされることが話題になりました。

2022年だと、「 2022 = 2 × 3 × 337 」 
う~ん。なんだか問題を出しづらそうですね。

そこで今年度の素数ネタとして話題に上がりそうなのが
アメリカで大発生中の「素数ゼミ」です。
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日本のセミは7年も地中にいることが知られています。
それに対して、アメリカの素数ゼミはなんと17年!
17年に一度だけ、数兆匹という大発生をすることで知られています。
この発生の周期が17、素数であることから「素数ゼミ」と呼ばれています。

実はこの発生周期が生き残るための術になっています。
毎年バラバラに羽化するよりも、17年に一度まとめて羽化することによって、天敵に食べつくされないほどの
大量発生をすることで生き残るのです。

このような「周期ゼミ」が、過去には 「12年ゼミ」から「18年ゼミ」まで存在していたようです。
その中で発生周期が素数のセミだけが現在も生き残っています。
この後の問題を解く前に、なぜ素数ゼミ以外が絶滅したのかを考えましょう。

ポイントはそれぞれのセミが、発生周期が違うだけでほぼ同じ種類のセミであることです。
例えば、12年ゼミと18年ゼミが同じ年に発生すると、2種類の特徴が混ざった「雑種」の子を産まれます。
「雑種」の子が生まれるとせっかくそろっていた発生周期がくるってしまうのです。
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例えば、「12年ゼミのオス」と「12年ゼミのメス」からは12年ゼミしか生まれません。
しかし、「12年ゼミのオス」と「18年ゼミのメス」からは、12~18年のうちのどの周期のセミでも生まれる
可能性があります。
周期がずれると、一度に羽化する数が減って、天敵に絶滅させられてしまうのです。

ここで一つ問題を出します。
これが入試に出題されるとすると、理科の知識問題としてではなく、
算数の計算問題のネタとして利用されると予想します。

< 問 >
発生周期が12、13、14、15、16、17、18年のセミがいます。
今年全てのセミが同時に発生したとして、来年以降の同じ年に2種類のセミが同時発生してしまうと、2種類とも絶滅してしまうものとします。
最後まで生き残るのは何年周期のセミでしょうか。

再び同じ年に発生するのは、周期の最小公倍数の年なので、丁寧に組合せを調べます。
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パッと見ると最小公倍数の大きい17年ゼミと18年ゼミが答えのように見えます。
しかし18年ゼミは36年後に12年ゼミと周期が合ってしまうので、真っ先に除外されます。

12年と18年ゼミがいなくなったので、残りの13~17年ゼミの欄だけを見て、次の公倍数を探しましょう。
そうして調べていくと、下図のようになり、17年ゼミが最後まで残ります。

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実際はこれほど単純ではないですが、周期が素数であると、ほかの数字との最小公倍数が大きくなります。
ほかのセミと発生周期がそろわないことが、素数ゼミが長く生き残る秘訣です。

現在アメリカに生息しているのは「13年ゼミ」と「17年ゼミ」だけです。
周期が素数のものだけが実際に生き残れたということですね。

受験生のみなさんはこれから長い夏期講習期間に突入し、いろいろな問題にチャレンジしていきます。
その中で時事問題候補のひとつとして、「素数」や「公倍数・公約数」の問題に注目してみて下さい。

算数ドクター