みなさま、こんにちは。
受験ドクター算数科のHH講師です。
本日は、カードめくりの問題についてお伝えしたいと思います。
2から100までの整数が書かれた99枚のカードが並べてあります。
それぞれのカードの裏には、表と同じ数字が書かれています。
1回目に、2の倍数が書かれたカードをすべて裏返しました。
2回目に、3の倍数が書かれたカードをすべて裏返しました。
3回目に、4の倍数が書かれたカードをすべて裏返しました。
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99回目に、100の倍数が書かれたカードをすべて裏返しました。
99枚のカードのうち、最も多く裏返されたカードは、何回裏返されましたか。
このような問題が与えられたとき、どのように考えますか?
作業を行う中でその規則に気が付くこともあります。
まずは手を動かすという選択もありでしょう。
【2~10までの数で調べてみる】
2は2の倍数で裏返される。
3は3の倍数で裏返される。
4は2と4の倍数で裏返される。
5は5の倍数で裏返される。
6は2と3と6の倍数で裏返される。
7は7の倍数で裏返される。
8は2と4と8の倍数で裏返される。
9は3と9の倍数で裏返される。
10は2と5と10の倍数で裏返されます。
このぐらい調べてみると、規則がわかってきますね。
そうです!それぞれの数は、1を除くその数の約数で裏返されるのです。
つまり、2~99の中で最も多く約数を持つ数字を見つけられると、その分多く裏返すことになるため、答えにたどり着きそうです。
次に考えなければならないのは、1つずつ調べていくのか?という事です。
2や3は素数なので約数が少ないことはわかりますが、54や76などの数字の約数の個数をそれぞれ調べていては時間を使い過ぎてしまいます。
ここで、約数の個数の求め方を思い出しましょう。
ある数の約数の個数は、ある数を素因数分解し(それぞれの素数の数+1)の積で求められることがわかっています。
忘れている場合は、下の例を参考に思い出してくださいね。
例)28の約数の個数
(素因数分解) 28=2×2×7
(約数の個数) (2+1)×(1+1)=6個
※赤字 2の素数の個数
※青字 7の約数の個数
さて、話を戻します。
素因数分解をして約数の個数を調べることは分かりましたが、それぞれの数字を素因数分解するような時間ももったいないですね。
そこで、約数が多くなるような素数の積の組み合わせを考えてみましょう。
試行例)
(まずは、最も小さい素数の2の積を考えてみよう)
2×2×2×2×2×2=64
約数の個数は、6+1=7個です。
(う~ん、3も入れてみようかな)
2×2×2×2×2×3=96
約数の個数は、(5+1)×(1+1)=12個
(よし、増えた!次は5も入れてみよう)
2×2×3×5=60
約数の個数は、(2+1)×(1+1)×(1+1)=12個
(7や11を入れるとその積が大きくなってしまうから、5をやめて2と3の積の組み合わせを考えてみよう)
2×2×2×3×3=72
約数の個数、(3+1)×(2+1)=12個
この辺りまで調べると、約数の個数12個の壁は高そうだということがわかります。
目線を変えて、約数が12個以上になる場合を考えましょう。
【約数が13個になる場合】
2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2のように同じ素数12個を素因数にもつ数にならなければなりませんが、100を大きく超えてしまうことが分かります。
【約数が14個になる場合】
約数が13になる場合で、同じ素数の積では大きくなりすぎることが分かりましたので、
(ある素数の数+1)×(ある素数の数+1)=14になるときを考えます。
最も数が小さくなるときの組み合わせは、2×2×2×2×2×2×3ですが、その積が192になってしまうことから、2~100の中に約数を14個持つものはありません。
約数の個数が15個、16個、17個・・・・のいずれの場合も、2~100の範囲内の数に当てはまるものがありませんので、求める答えは、
12個-1=11回
となります。
段階に分けると、
① 作業を行い、規則を見つける
② 約数の個数の求め方を利用する
③ 約数が多くなる組み合わせを考える
④ 条件に当てはまるかを検証する
どこまで進めたかで今後のトレーニングや弱点の克服法が変わってきます。
段階ごとの理解度(到達点)を把握し、適切な勉強を行うことで算数の得点力を飛躍的に伸ばすことが出来ます。
では次回、またお会いしましょう。