みなさん、こんにちは。受験ドクターの安部公一郎です。
桜の季節になりました。
めでたいですねぇ。
そこで今日のお題は、めでたい感じがする“つるかめ算”。
<近くて遠い つるかめ算>
つるとかめが合計20匹います。
足の数が合わせて54本のとき、かめは何匹いますか?
算数でもっとも知られた特殊算、みんな一度は目にしたことのある文章題。
小学校でも習います。
中学受験においてはド定番です。
4年生という早い段階で学習するのに、
5年・6年と進むにつれ、他分野と融合し、どんどん難しくなります。
江戸時代からあった“つるかめ算”。
みんな名前は知っている。
でも、
“つるかめ算”の構造を理解しているよ!
入試でよく出る理由をちゃんと知ってるよ!
という人は、そんなに多くはないんじゃないでしょうか。
そんな近くて遠い“つるかめ算”についてお話します。
<つるかめ算 大人気のワケ>
そもそも“つるかめ算”は、なぜ中学受験でここまで頻繁に出題されるのか?
先ほどの問題を、方程式を使って解いてみましょう。
いかがですか? これは、まさに連立1次方程式ではないですか!
みなさんが中学1年生で学ぶ内容ですね。
つるかめ算が中学受験で大人気のワケはこれです。
中学入試の問題は誰が作っているのか?
作問者は、、、もちろん、、、
中学校の数学の先生。
中学に入ってから、スムーズに数学の勉強が習得できるか、
中学受験段階でチェックしてるんですね。
結果、いろんな分野で“つるかめ算”が登場することになります。
<つるかめ算って、ナニ?>
“つるかめ算”の大人気の秘密は分かりました。
では、いったい“つるかめ算”とはどういう構造の文章題なのでしょうか。
先ほどの問題を分かりやすく表すと、以下のようになります。
1.「1個あたりの量」 が2種類あり、
2.それぞれの「個数」は分からず、
3.「個数の合計」と「積の合計」が分かっている。
これが“つるかめ算”の構造であり、「型」となります。
1.「1個あたりの量」とは、つるの足の本数2本とかめの足の本数4本
2.つるとかめがそれぞれ何匹(個数)いるかは、分かりません
3.つるの足の本数の合計・かめの足の本数の合計は分かりませんが、足の総本数は分かっています
「型」に入れてみると、よく分かります。
正真正銘の“つるかめ算”ですね。
「何を分かりきったことを…」と言うなかれ。
“つるかめ算”の難しさは、
「これは“つるかめ算”である」と見抜くことにあります。
まだ半信半疑な方、次をご覧下さい。
<つるかめ算こそ算数の王者?!>
A君の走る速さは分速120m、歩く速さは分速70mです。
10分で1200m進むには、何分間走ればいいですか?
いきなり速さの問題ですね。
どっこい、ただの速さの問題ではありません。
実はこれ、“つるかめ算”です。
“つるかめ算”の「型」に入れてみると~♪
1.「1分あたりの速さ」とは、走る速さは分速120m、歩く速さは分速70m
2.走った分数と歩いた分数がそれぞれ何分(個数)かは、分かりません
3.走った距離・歩いた距離は分かりませんが、移動した総距離は分かっています
入ったぁ~!型にすっぽり入りましたぁ!
見た瞬間、“つるかめ算”だと分かった方は、“つるかめ算”初級 合格。
次は中級編。
A君なら20日、B君なら30日で完成する仕事があります。
はじめA君が何日か働き、続いてB君が何日か働きました。
完成まで全部で26日かかったとき、A君が働いたのは、何日間ですか?
今度は仕事算ですね。
どっこい、ただの仕事算ではありません。
仕事の全体量を20と30の最小公倍数60に設定すると、
60÷20=3 A君の1日あたりの仕事量
60÷30=2 B君の1日あたりの仕事量 となります。
“つるかめ算”の「型」に入れてみると~♪
入ったぁ~!型にすっぽり入りましたぁ!
これも“つるかめ算”でした。
とどまるところを知りません。
まぁ、“つるかめ算”の記事ですから、
“つるかめ算”だとは分かってしまうのですが…
最後に上級編。
下図のような水槽に一定の割合で注水します。
そのときの水面の高さと注水してからの時間を示したのが、右下のグラフです。
グラフの□に当てはまる数は?
今度は水槽に水を注ぐというグラフの問題ですね。
どっこい、ただの容積の問題ではありません。
下の細い部分は、6分間で30cm、上の太い部分は10分間で30cm、水面が上昇しています。
30÷ 6=5cm 下の部分の1分間の水面上昇
30÷10=3cm 上の部分の1分間の水面上昇
合計30分間で110cm水面上昇すればいいので、
“つるかめ算”の「型」に入れてみると~♪
ハイ、入りました。
どうですか。
上級編なんかは難易度高すぎ。
パッと見て“つるかめ算”だとは到底思えませんね。
いろんな分野で登場する“つるかめ算”。
まさに算数の王者といっても過言ではありませんぞ。
「この問題は“つるかめ算”だ」と即座に見抜けるようになると、
解ける問題が一気に増えるはず。
こんなの見抜けないよぅという受験生、大丈夫!
見抜くコツは、
“つるかめ算”の型をまず頭に入れること。
問題文を読んで、“つるかめ算”かなぁと思ったら、
型に入れてみて下さい。
きっと見抜けるはずです。
さて、“つるかめ算”三昧でしたね。
もうおなかいっぱい。
今日は、これでおしまい。
次回は、
“つるかめ算”part2「つるかめ算は平均算?!」です。