地震は震源(地震が発生した所)から四方八方にほぼ一定の速さで伝わって行きます。
ある地点で地震を観測していると最初の小さなゆれ(初期微動)の後に大きなゆれ(主要動)が来ます。
最初の小さなゆれを引き起こすのはP波という速い波です。
また、後から来る大きな波を引き起こすのはS波という遅い波です。
最初の小さなゆれが来てから大きなゆれがくるまでの時間を初期微動継続時間といいます。
問題
ある地震をA地点で観測したところ初期微動継続時間が12秒でした。
P波を毎秒7㎞、S波を毎秒4㎞として、A地点からの震源距離(観測地点から震源までの距離)を求めなさい。
今回は面積図を使って解いてみましょう!
P波(毎秒7km)、S波(毎秒4km)の速さをタテの長さで表しています。
P波、S波がA地点に届くのにかかった時間(秒)をヨコの長さで表しています。
また、距離=速さ×時間 ですから上の図の長方形の面積は距離を表しています。
では、上の面積図でどこが初期微動継続時間を表しているのでしょうか?
P波がA地点に届くのにかかる時間をX秒とすると、P波より遅いS波がA地点に届くのにかかる時間は当然もっと長くなります。
では、A地点に届くのにS波はP波より何秒長くかかるのでしょうか?
実は、A地点に届くのにS波がP波より長くかかった時間、これが初期微動継続時間なのです。
P波がA地点に届くのにかかった時間とS波がA地点に届くのにかかった時間の差が初期微動継続時間というわけです。
上の図では、P波がA地点に到達するのにかかった時間をX秒、S波がかかった時間をX+12秒としてあります。
つまり、S波がA地点に届くのにかかった時間はP波が届くのにかかった時間(X秒)より12秒長くとってあります。
この差の12秒が初期微動継続時間を表しているのです。
ところで、P波が震源からA地点まで進んだ距離とS波が震源からA地点まで進んだ距離は同じですから、上の面積図の長方形アと長方形イの面積は同じです(白い長方形の部分は共通です)。
長方形イ=4×12=48=長方形ア
長方形アのタテの長さ=7-4=3
よって、X=48÷3=16秒
P波(毎秒7km)がA地点まで届くのにかかった時間が16秒だとわかりましたから、
震源距離=7×16=112km
念のために、S波からも震源距離を求めてみましょう。
S波(毎秒4km)がA地点まで届くのにかかった時間は、16+12=28秒
よって、震源距離=4×28=112km
今回は、P波・S波と初期微動継続時間から震源距離を求める問題を面積図を使って解きました。
しかし、この問題は他にも解き方がいろいろ考えられます。
ぜひ自分で別の方法を考えてみてください!
ただし、自力で別解を見つけるとはデタラメに考えることではありません。
根本原理を本当に理解して使いこなさなければ自力で解くことはできません。
無から有は生まれないのです。
まさに、インプット無くしてしてアウトプット無しなのです。
なお、GW特訓では、この地震の問題のように、根本原理から重要単元を説明して行きます。