こんにちは。
社会科担当のDです。
社会の学習は順調に進んでいますか?
7月も、参議院議員選挙や南シナ海をめぐる仲裁裁判など、国内、海外とも大きなニュースがありました。
今回は、これら最新のトピックスを通して、社会の「時事問題対策」についてお話しします。
<参議院議員選挙について>
7月10日に参議院議員選挙がありました。
ところで、この参議院の選挙ですが、今年(2016年)で何回目でしょうか?
参議院は貴族院の廃止を受けて、日本国憲法の下で設置されました。
第1回参議院議員選挙が行われたのは、1947年3月。
吉田茂内閣の時です。
ちなみに、日本国憲法の公布(1946年11月3日)も施行(1947年5月3日)も吉田茂内閣の時です。
この第1回参議院議員選挙では250名が選ばれ、そのうち上位で当選した125名が任期6年とされ、下位の125名が任期3年となりました。
1947年以来、参議院では3年ごとに半数ずつ議員を選ぶ選挙が行われてきました。
このため、衆議院の選挙を「総選挙」というのに対して参議院の選挙を「通常選挙」といいます。
では、今年が何回目の参議院議員通常選挙か計算してみましょう。
2016−1947=69
69÷3=23
23+1=24
よって、2016年の参議院議員通常選挙は24回目です。
第24回参議院議員通常選挙では次の3つの点が入試で取り上げられる可能性が高いと思います。
まず、第1に、選挙権が満20歳から満18歳に引き下げられたことです。
これによって、高校生も選挙できるようになりました。
第2に、「合区」制が取り入れられたことです。
これまで参議院の選挙区(かつては地方区)の選挙は都道府県単位で行われていました。
ところが、今回は、「一票の格差」を是正するために、隣接する県を1つの選挙区にする「合区」が取り入れられました。
今回合区になったのは、「島根・鳥取」と「徳島・高知」です。
第3に、選挙の結果、憲法改正の発議に必要な「各議院の総議員の3分の2以上」という高いハードルをクリアしたことです。
もし、国会が憲法改正の発議をすると、その後、国民投票という流れになります。
EU離脱したイギリスの例を見てもわかるように、最終的に国の政治のあり方を決めるのは主権者である国民なのです。
<南シナ海をめぐる仲裁裁判について>
南シナ海にある西沙(パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島の領有やその「島」の周りの排他的経済水域をめぐって、中国と東南アジアの国々が争ってきました。
2013年、フィリピンは常設仲裁裁判所に提訴しました。
常設仲裁裁判所はオランダのハーグにあります。
国連の国際司法裁判所と同じ場所です。
仲裁裁判では、中国が岩礁を埋め立てて造った人工島は「島」とは認められず、また、領土(島)から200カイリの排他的経済水域の設定も認められませんでした。
この判決は、日本にとってもけっして他人事ではありません。
日本の最南端の沖ノ鳥島は「島」なのでしょうか?
それとも「岩」なのでしょうか?
<正しい時事問題対策とは?>
時事問題対策はどうしたらよいか尋ねられることがあります。
時事問題は社会の中学入試の中で大問のリード(導入)文の「題材」として取り上げられることが多いです。
入試では時事問題から単独の出題はそれほど多くはありません。
時事問題は公民(政治・経済・国際関係)や地理・歴史とからめて問われる場合が多いです。
日ごろからニュースなどの時事問題と公民や地理・歴史とを関連付けてとらえるようにしましょう。
実は、「正しい時事問題対策」とは、公民・地理・歴史の基礎をしっかりと固めて盤石なものにしておくことだと言えるでしょう。