昔ひとりの旅人がバスに乗って旅をしていました。
すると、バスの窓からまことにきれいな虹がある村の上にかかっているのが見えました。
そこで、その旅人は急いでその虹のたもとににある村に行きました。
彼は、村のひとびとと「幸福な光」を分かち合おうと思ったのです。
けれども、その村に旅人が着いてみると誰も自分たちが虹の中に住んでいるとは気づいてはいませんでした。
旅人は少しがっかりしましたが、ふとあることに気がつきました。
虹は遠くのバスの中からは見えるのに、虹のたもとのような近くにいる人にはまったく見えないのだと。
この寓話の教えるところは、幸せとはその真っ只中にいるときには本人にはなかなかわからないが、ときが過ぎてみればあのときは実は幸せであったのだということがしばしばあるということです。
この話とよく似た状況なのが中学受験の真っ只中にいる君たちです。
中学受験は君たちが12年間生きてきた中で最大の試練だと思っているひとが多いことでしょう。
ところが、人生には逆風に見えて実は順風だったということがよくあるのです。
中学受験というのは厳しい試練のようではありますが、ほんとうはものすごくありがたいチャンスなのです。
入試の日まで残りわずかです。
その残された時間を一日一日感謝の気持ちを持って「かみしめて」勉強してみてください。
こういった素晴らしい機会を与えてもらったことに感謝できるひとの心の中にこそ最後に「幸福な虹」がかかることでありましょう。