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投稿日:2011年02月18日

テーマ: 受験情報 / 日記

偏差値で「学力」は測定できるか?

自分は全体の中でどの位置にいるのか?

誰しも自分のポジショニングに興味があります。

たとえば、身長や体重。クラス全体の中で自分は前から何番目か?一列に並べばこれは目で見てわかります。

ところが、「学力」の測定となると話はややこしくなります。

そこで、全体の中でその人の学力の位置を表す指標として、偏差値が用いられるようになりました。

偏差値とは、ある生徒の得点がテストの平均からどれだけ離れているかを客観的に表す数値です。

式で表せば、

偏差値=10×(得点-平均)÷標準偏差+50

たとえば、受験者の得点がテストの平均と同じなら偏差値は50になります。

上の式の中にある「標準偏差」とは、受験者全体のテストの得点の分布のばらつきを表しています。平均点の近くに得点が狭く分布しているときには標準偏差は小さくなり、得点の分布の幅が広いときには標準偏差は大きくなります。

上の定義式からわかるように、偏差値とは、「平均」と「標準偏差」をパラメータとする変数といえます。一般的に、平均が小さい値になると偏差値は大きくなり、標準偏差が大きい値になると、偏差値は小さくなります。

以上は、「偏差値」の話。

では、偏差値は「学力」の代理変数と言えるのでしょうか?筆者は、イエスと思っています。もちろん、偏差値と学力はまったくのイコールではありません。けれども、偏差値によって子どものおおまかな「学力」をとらえることはできると言えます。

「偏差値教育」批判のように、「ヘンサチ」という言葉にはネガティブなイメージをもたれる人も少なからずいらっしゃると思います。筆者は、それは偏差値へのさまざまな「誤解」や「俗説」に基くものだと思っています。もっとも、偏差値は万能の統計ではありません。偏差値では計れないようなものもたくさんあります。たとえば、子どもの「独創性」や「我慢強さ」、それから、その子の「やさしさ」や「素直さ」、「誠実さ」などなど。

この話で、筆者はかつて某新聞社が「くたばれGNP!」というキャンペーンをやっていたのを思い出しました。GNP(国民総生産)では人間の愛とか自然の情景とかといった「豊かさ」は計れないという批判でした。もちろんGNPやGDP(国内総生産)は不完全な指標です。しかし、「豊かさ」のかなりの部分は「おカネ」と関係があるというのもまた紛れもない事実でありますから、GNPやGDPによって、その国の人々の「豊かさ」を計ることは可能なのです。

同様に、偏差値は完全な指標ではありませんが、子どもの「学力」のかなりの部分を把握できる指標であると言えます。

ところで、そもそも「学力」とは何でしょうか?

これはまた大問題です。話がやや冗長になってきましたので、またの機会に回すことにいたします。