この1か月あまり「放射能漏れ」のニュースを聞かない日はありません。。。
ところで、この「放射能漏れ」という言葉。
これは、日本のマス・メディアによる典型的な誤用であります。
「放射能」とは、「放射線」を出す能力のことです。
「放射線」とは、α線、β線、γ線、X線、中性子線などの高いエネルギーを持った電磁波や粒子線のこと。
また、「放射性物質」とは、「放射能」を持つ物質のことです。
したがって、「放射能漏れ」という現象はありえません。
正しくは、「放射性物質漏れ」もしくは「放射線漏れ」と言わなければなりません。
さて、原発関連のニュースで最近すっかり定着した感のある言葉に「ベクレル」と「シーベルト」があります。
「ベクレル」とは、放射性物質が放射線を出す能力(放射能)の大小を表す単位。
「シーベルト」は、放射線による人体への影響度合いを表す単位。
4月12日のニュースによると、今回の原発事故で放出された放射性物質の量は63万テラ・ベクレル。
これはチェルノブイリ原発事故の時に放出した量の1割に相当するそうです。
「テラ」というのは、10の12乗=1兆。
また、1兆の1万倍は、10の16乗=1京(けい)。
よって、63万テラ・ベクレルとは、63京ベクレルという文字通り「天文学的な」数字!!!
政府は、原発事故の深刻度のレベルをチェルノブイリに並ぶ最高のレベル7に引き上げました。
ちなみに、「テラ」の下が、「ギガ」=10の9乗=10億
「ギガ」の下が、「メガ」=10の6乗=100万
「メガ」の下が、「キロ」=10の3乗=1000
「キロ」の下が、「ヘクト」=10の2乗=100
「ヘクト」の下が「デカ」=10の1乗=10
一方、4月8日12時現在の東京新宿の放射線量は、毎時0.0851マイクロ・シーベルト。
年間に換算すれば、0.0851×24×365=745マイクロ・シーベルト=0.745ミリ・シーベルトです。
1年間に自然環境から人間が受ける放射線量の世界平均は2.4ミリ・シーベルトですから、それ以下
ということがわかります。安心!
健康上被害がないとされる上限は年間100ミリ・シーベルトといわれています。
また、政府が福島第1原発から半径20キロ圏外の「計画的避難区域」の基準とした年間被ばく放射線量が20ミリ・シーベルトです。これは、毎時に換算すると、
20÷365÷24=0.0023ミリ・シーベルト(mSv)=2.3マイクロ・シーベルト(μSv)
先ほど東京は、毎時0.0851マイクロ・シーベルト(μSv/h)でしたから、「計画的避難区域」の約27分の1程度の被ばく放射線量です。
ちなみに、「dl」でおなじみの「デシ」=10のマイナス1乗=10分の1
「デシ」の下が「センチ」=10のマイナス2乗=100分の1
「センチ」の下が「ミリ」=10のマイナス3乗=1000分の1
「ミリ」の下が「マイクロ」=10のマイナス6乗=100万分の1
「マイクロ」の下が「ナノ」=10のマイナス9乗=10億分の1
「ナノ」の下が「ピコ」=10のマイナス12乗=1兆分の1
今回は、最近気になる単位の話を取り上げました。
今年度の社会や理科の時事問題として、出題される可能性もあります。
また、単位換算の問題は、算数にもよく出ますので、ご注意を。