Yahooのホームページには、毎日、東京電力の電力使用状況が百分率で示されています。
たとえば、4月22日1時台ですと、使用率は66パーセント。
これは、使用電力2571万kW(キロワット)を供給電力3850万kWで割った値です。
また、この夏の消費電力は6000万kWと予想されるが、供給電力は5000万kWしかないから節電を、
というように、大地震以来、「電力」や「キロワット」という言葉や単位が日常的に聞かれるようになりました。
では、そもそも「電力」とは何でしょうか?
電力(W)=電流(A)×電圧(V)
例えば、電流が5Aで、電圧が100Vなら、電力は500Wとなります。
1kW=1000W ですから、500W=0.5kW
「電力」とは、単位時間(瞬間的)に電流がする仕事量のことです。
これとしばしば混同するものに「電力量」があります。
電力量(Wh)=電力(W)×時間(h)
たとえば、500Wの電力を1時間使用した電力量は、500Wh=0.5kWh(キロワットアワー)といいます。
「電力」と「電力量」の関係は、ちょうど、「速さ」と「距離」の関係に似ています。
「速さ」に時間をかけたものが「距離」であるように、「電力」に時間をかけたものが「電力量」です。
ある新聞に自動販売機とパチンコ屋の1日当たり消費電力量の合計が約1000万kWh とありました。
この夏の電力需要は6000万kW、電力供給は5000万kW でしたから、不足する1000万kWは
自動販売機とパチンコ屋を無くせばまかなえるとある政治家が発言しました。
では、この発言は正しいでしょうか?
この政治家は「電力」と「電力量」につて勘違いしていたのです。
新聞に載っていたのは自動販売機とパチンコ屋の1日当たりの「電力量(kWh)」でした。
他方、この夏不足しているのは1000万kWの「電力」。
「距離」と「速さ」を加えたり引いたりしても意味がないように、「電力量」と「電力」を足したり引いたりしてもまったく意味がないのです。
電力量は電力に時間をかけたものですから、電力量を時間で割って、「電力(kW)」にそろえて比較しなければならなかったのです。