統計の取り方や分類は時代とともに変化します。農家の分類も以前は農業だけから収入を得ている「専業農家」と農業以外からの収入がある「兼業農家」に分けていました。さらに、農業所得の方が農業外所得より多いものを「第1種兼業農家」、農業外所得の方が農業所得よりも多いものを「第2種兼業農家」と呼んでいました。
ところが、この分類法に問題が生じてきました。第一に、農家の高齢化・後継者不足の問題が深刻になっているにもかかわらずこの分類ではその実態が把握できません。第二に農家の大部分が兼業農家となり、専業と兼業の分類の意味がうすれてしまいました。第三に、請負耕作などで経営規模を拡大しても、世帯員に一人でも農業以外の所得者がいれば「兼業農家」に分類されてしまいます。このように、いままでの分類は現在の日本の農業構造の実態に合わなくなってしまったのです。
そこで、1995年から次のような新しい分類が採用されました。まず、農家を耕地面積と農産物販売金額で「販売農家」と「自給的農家」に分けます。前者は耕地面積が30アール以上、農産物販売金額が年間50万円以上ある農家。つまり、販売を目的に農業を営んでいるもの。後者は、自家農園のように自分のところで食べるために農業をやっているもの。
さらに、「販売農家」は「主業農家」、「準主業農家」、「副業的農家」に分類されました。主業農家とは、農業所得が農業外所得より多く、65歳未満の農業従事者がいる農家。準主業農家とは、農業外所得が農業所得より多く、65歳未満の農業従事者がいる農家。副業的農家とは、65歳未満の農業従事者がいない農家をいいます。
社会の「用語」は時代とともに変化しています。日頃から新聞やニュースを注意深く読み用語や分類の変化を観察してみましょう。そうして、その背景にある世の中の変化も考えてみましょう。りっぱな社会の勉強になります。