こんにちは、受験ドクター国語科・社会科担当のS.I.です。
さる3月14日、山手線の新駅、「高輪ゲートウェイ駅」が開業しました。
山手線では1971年(昭和46年)に開通した「西日暮里駅」以来、49年ぶりの新駅となります。
今年2020年は、この他にも6月6日開業予定の東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」、
10月31日開業予定の東武東上線「みなみ寄居駅」と、計3つもの新駅が開業します。
これは時事問題として出題されること間違いなし!ということで調べてみたところ、社会科担当としては出題したくなるワードがちらほら・・・。
いくつか取り上げてお話ししてみたいと思います。
これまでの出題のされ方は目的・影響を問うものが多数
九州新幹線の開通、北陸新幹線の延伸、北海道新幹線の開通、と2000年代の新幹線開通時には、
「新幹線の開通が、新幹線の駅の所在自治体に及ぼす影響」や、
「新幹線のルートの近くにはあるが、駅のない自治体への影響」を問う問題が複数の学校で出題されました。
また、開成中の2017年入試では、駅名表示に導入された「JY22」の「JY」が表すものを問う、
「駅ナンバリング」を取り扱った問題が出され、話題になりました。
駅名以外に路線名を簡易的に表示したアルファベットと数字の組み合わせですね。
増え続ける外国人観光客にも分かりやすいように導入されたものです。
3つのキーワード
高輪ゲートウェイ駅 海外へ開かれたまちづくり、SDGsへの取り組み
ここ「高輪」は、江戸時代には東海道の江戸の出入り口として「高輪大木戸」が設けられていた土地。
「高輪ゲートウェイ駅」は「グローバルゲートウェイ品川」という海外への出入り口として開かれたまちづくりの一環で計画されました。
近くにある品川から、リニア新幹線による輸送で名古屋へ、勝どき駅から成田空港へとつながっています。
駅舎にも「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けた取り組みが見られます。
屋根の素材を工夫して、温度上昇を抑える、屋外の光を室内に取り入れる、など環境に配慮したデザインになっているそうです。
太陽光発電や小型風力発電も取り入れられているのだとか。
AIを利用したガイドや無人店舗、VR技術を使った観光案内といった最新の技術もとりいれられています。
駅舎のデザインを、東京オリンピックのメインスタジアムとなる国立競技場と同じ隈研吾氏が担当したということも話題になりました。
虎ノ門ヒルズ駅 BRTの導入
おもな目的はアクセスの改善や周辺の都市開発ですが、注目したいのは「BRT(バス高速輸送システム)」です。
東北地方では東日本大震災によって被害を受けた路線の代わりに導入され、復興の後押しをしたこのシステム。
都心部と湾岸エリアをつなぐ交通手段として、東京にも導入されます。
東京オリンピックの選手村の跡地に建設予定の住宅街へのアクセスが便利になります。
みなみ寄居駅 交通渋滞の緩和
「都市部の交通渋滞を緩和する手段として、どのようなものが考えられますか?」
という問題を見たことがあるかもしれません。
答えは「公共の交通機関の利用」。
ホンダの自動車工場へのアクセスを便利にすることが目的ですが、
この近辺では自動車通勤する従業員による渋滞が問題となっていたのだとか。
「パークアンドライド」に関連する出題がありそうです。
「自動車に代わって公共の交通機関を利用するということは、温室効果ガスの排出削減・・・」などと気付けたら、さらに良いですね。
まとめ
今回は、「SDGs(持続可能な開発目標)」、「BRT(バス高速輸送システム)」、「パークアンドライド」の三つを、新駅開通の目的・影響に関連してお話ししました。
これらの駅についてのニュースを見て、「あ、社会の授業で習った○○だ!」と連想出来たら、もう地理学習の達人です。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう。