メニュー

投稿日:2020年03月03日

テーマ: 社会

あたたかい冬のあとには

こんにちは、受験ドクター国語科・社会科担当のS.I.です。

今日はひな祭り、桃の節句ですね。

「節句」とはもともと、年間の節目となる年中行事をいいます。
古くは朝廷の年中行事、また人びとの間に伝わる折々の行事が数多くあったところに、江戸幕府が現在の五節句(一月七日「七草の節句」、三月三日「桃の節句」、五月五日「端午の節句」、七月七日「七夕の節句」、九月九日「重陽(菊の節句」)を制定したのだとか。

暖冬1

さて、春の足音が聞こえる今日この頃。

とはいっても、この冬は記録的な暖冬でしたね。
各地の豪雪地帯でも、降雪量が少なかったためにイベントの規模を縮小したり、スキー場のオープン時期を遅らせたり・・・と、さまざまな影響がありました。

本日のテーマは「暖冬の影響」。
社会科の学習内容と結び付けて考えてみましょう。

まずは、上でも述べた降雪量のお話から。

冬にはユーラシア大陸から吹く北西の季節風が日本海の湿気をふくんで雲を発生させます。
それが山地・山脈にぶつかり雪を降らせるため、日本海側では降雪量が多くなり、太平洋側では晴れの日が続きます、というのが気候の学習で勉強する内容です。
今年は積雪量が平年の3割程度となり「さっぽろ雪まつり」は規模が縮小、樹氷で有名な山形県の蔵王でも、「樹氷巡りツアー」は予定より1か月弱遅れての開始になったのだそうです。
ということで、暖冬の影響その①は、観光産業への打撃です。

次に、農作物への影響について。

暖冬傾向が続くと、冬の作物はよく生長するため、収穫量が増えます。
消費者が欲しいと思う量(需要)は変わらないのに市場に出回る量(供給)が増えるということですから、需給バランスを考えると価格は下がることになりますね(経済に関しては、6年生で学習します)。
作物によっては、市場に出回る量を調整するために泣く泣く廃棄する、ということも起きてきます。
わたしたち消費者にとっては嬉しいことですが、生産者側の視点に立つと、「豊作びんぼう」という言葉もある通り、生産物の価格が下がってしまっては困ります。
また、作物が早く育つため、時期をずらして出荷することで価値を高めていた作物(ビニールハウス栽培のレタスなど)の価格が下がっています。

暖冬2

暖冬の影響その②は、農作物の価格下落です。

そして、春になってからも影響は続きます。
地理分野の定番問題で、このようなものがあります。

問. 新潟県や富山県、秋田県、山形県など、日本海側の地域で米の生産が行われる理由を、気候の特徴の面から考えて記述しなさい。(答えはブログの最後をご覧ください)

先述の通り、降雪量の少ない冬でしたから、当然春になって溶ける雪(=雪解け水)も少ないということになりますね。
そこで、今後は夏の水不足が心配されます。
暖冬の影響その③は、水不足の心配です。

ここまで、暖冬の影響をお話ししてきました。
近年の社会科入試でますます求められるようになってきた「原因・結果」の関係を考える力、身近なところから考えていきたいですね。
観光産業にたずさわる人、農業の生産者・・・など、自分の目線以外の人の立場から考えるのが、視野を広くするコツです。

それではまた、次回のブログでお会いいたしましょう。

問題の解答:日本海側は冬の降雪量が多く、春になって雪解け水が川に流れ込み、それを稲作に利用するから。

偏差値20アップ指導法