こんにちは。受験ドクターのI.Sです。
平面図形の「相似」単元の解説を読むと、大体このようなことが書いてあります。
「三角形ABCと三角形DEFが相似であることが分かります。したがって~」
いや、そこが分からない!
となる方が多いのではないでしょうか。そうなのです。相似の問題が解けない子の場合、「どことどこが相似なのか分からない」や「たくさんありすぎて、どの相似を使えば良いのかわからない」となっている場合がほとんどです。
ここの相似を使って解くんだよ、と言われれば、そこから先は分かるのです。困っているのは、その前段階なのです。
相似問題の落とし穴はココにあります。つまり、解説を聞けば、解説自体は理解できます。つまり、「こことここの相似を利用するとココの長さが求められて、それからこっちの相似を使うと、答えがでます」のように説明されれば、生徒は「フムフムなるほど。確かにそうなるな」と納得できるのです。
しかし、最初の「こことここの相似を利用する」というところの発見のハードルが高いのです。
解説では、この出発の部分が省略され、気づいたことを前提にされて、解説が始まってしまうのです。
するとどうなるのか。授業を聞くと分かるけど、テストになると解けないという状態になります。
解説を聞くだけでは、再現性のある学習にはならないのです。
つまり、少しでも形が変わったら解けなくなってしまいます。
それでは、どのようにすれば、再現性のある学習。つまり、組分けテストや入試問題の問題を解く力。
本当の学力が養成されるのでしょうか。
下の問題を例にして考えてみましょう。
問題は「斜線部分の面積を求めなさい」ですが、今回のブログでは図形だけを取り出します。
この図形を見たらまず、相似形の組を15個見つけてごらん?と言います。相似形とは、クロス型とピラミッド型等の種類があります。これとこれが相似。これとこれも相似。というように、15個!見つけてみるように促します。
さて、だんだん見つからなくなってきます。
探していくと、「惜しい!」という図形があります。例えば次の形
ここで
「補助線を入れても良いよ」
と言ってみます。
すると、自主的に補助線を引き始めます。
このように、線を付け足すことで、ピラミッド型の相似を作ることが出来ました。
そうです!皆様が頭を悩ませる、補助線はどこに引いたら良いのかという問題の解決策はこれなのです。
相似形を作るために引くのです。今ある線では惜しくも相似形にならないので、何とか絞り出すために線を付け足すのです。
さて、こうして15個という無謀とも思えたノルマをクリアしたところで、問題を解き始めてもらいます。
すると、子供たちは「考えるツール」を手に入れた状態になっています。
当初は「何から手を付けたら良いのか全く分からない」だったのが、今は頭の使い方が「みつけた15個の中から、答えを出すにはどの相似を使ったら良いか」に変化しています。
ここからは、時間をかけて考える価値があります。選択肢を手に入れたことで、やっと「考える」段階に入ることが出来ました。
この、相似15個発見法はご家庭でもすぐに実践していただけます。相似の図形問題を解く前に「相似を15個(問題によっては10個など)」見つけてごらん」と声をかけるだけです。遊びのようなものです。
まずは上の例題で、紹介しきれなかった相似形を探してみてください。まだまだあります。誇張ではなく、本当に15個以上見つけることが出来ます。
これを実践すると、その後の問題が考えやすくなっていることに、お子様自身も気づかれると思います。そうなれば、後は自主的にやってくれます。
これを1か月なり2か月なり、ご家庭で図形問題に取り組む際に毎回繰り返していると、どれほどの実力が付くのか?
その効果は、ぜひご家庭でお試しください。
それではまたお会いしましょう。