こんにちは。受験ドクターのI.Sです。
ニュートン算が苦手だという受験生を多く見かけます。
ご家庭で保護者の方が説明をしてみても、なかなか理解してくれない、というような経験はありませんでしょうか?
今回のブログでは、なぜニュートン算が理解しづらいのか、その理由を考えてみます。
そして、その解決法として「実験」を提案します。
ではまず、ニュートン算の例題をご紹介します。
「水槽に4リットルの水が入っています。この水槽には、じゃ口から1分に2リットルの水が注いでいます。また、水槽に空いた穴からは、1分に3リットルの水が漏れ出ていきます。水槽が空になるのは何分後でしょうか?」
この問題は、次のようにして解きます。
4÷(3-2)=4 答え:4分
つまり、1分間に「3リットル出ていく」と「2リットル入ってくる」ということから、差し引きすると1分につき1リットルずつ、水そうにたまっている水が減っていく。という考え方が根本原理としてあります。
実は・・・ニュートン算を初めて学ぶ小学生には、この根本の発想が理解しづらいのです。
つまり
「空の水そうに、1分間に2リットルの水が水槽に入ります。さて、4分間で何リットルの水が入りますか?」
2×4=8 答え:8分
のように、単純に掛け算する状況には慣れています。しかし、
「空の水そうに、1分間につき2リットルの水が入ります。同時に、1分間につき1リットルの水が漏れ出ていきます。4分後には何リットル溜まっているでしょうか」
(2-1)×4=4 答え:4リットル
のように「1分当たりの出入りの差」という考え方には、触れた経験がまだ少ないです。
そのため、説明されたとしても「一体何が起きているのか分からない」という状況に陥ってしまいます。
大人からすると当たり前な「1分当たりの出入りの差」という発想・考え方を、目に見える形で示してあげることが、指導の第一歩となります。
では、「実験」の内容紹介に移ります。この実験は、生徒と保護者様の二人で行います。
② 「いっせーのせ!」の掛け声とともに、お母さま(お父様)が机の上にペンを1本追加します。同時に、お子様が机の上からペンを2本取り除きます。
③ これを何回繰り返すと、机の上から辺がなくなるか? を予想してもらいます。そして、実際にペンがなくなるまで「いっせーのせ!」を繰り返し、何回でなくなったかを確かめます。
以上です。この実験により、「1回で机の上からペンが1本減ること」や「4回でペンがなくなること」を実感してもらいます。
その後は、机上のペン、追加するペン、取り除くペンの本数をそれぞれ変えながら、何回か実験を繰り返します。
例えば、追加するペンを2本、取り除くペンを4本にすると、一回ごとに、机上のペンは2本ずつ減っていきます。
この実験をすることで「追加される量と出ていく量の差」という概念を自在に扱うための下地が整います。
塾のテキストの各問題の解説をする前に、こうした実験で導入する事により、算数の問題を目に見える形にして提示してあげることが有効です。
算数の世界の話を、現実世界の話に引き寄せてあげられると、その後の理解が見違えるように良くなる場合があります。
算数が苦手なお子様への指導では、このように導入を丁寧にしてあげることが非常に大切です。
算数の世界と実生活の世界をつなげてあげるように説明する、という点に意識を向けてみると、お子様への説明がしやすくなるかもしれません。
それではまた!