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投稿日:2009年05月12日

テーマ: ドクター通信 / ニュース / 受験情報 / 国語

ドクター通信(5月号)

薫風が心地よい爽やかな季節を迎えましたが、皆様方におかれましては益々ご健勝のことと存じあげます。

さて先日の休み時間内での出来事でしたが、私の「風船を破裂させることなく、そこに針を刺すことは可能か?」という問いに対して、生徒の一人が「風船にセロハンテープを貼って、そこに針をさせばいい」と教えてくれました。よく知っているねとほめた後に「じゃあ、どうしてそれだと割れないの?」とたずねましたが、「わからない、本に書いてあったけど」と即答され終わってしまいました。私がこのやりとりで感じたことは「今の教育が解答を追求することにばかりに気をとられ、そこにたどり着くまでに生じるさまざまな疑問の解明を疎かにし過ぎているのではないか」という危惧です。現在は既存の価値観を遵守するだけではなく、自分なりの価値観を新たに構築していかなければ生き残れない厳しい環境に置かれています。その時代のパラダイムを生き抜くうえで、「あれは本に書いてないからおかしい」とか「これは~さんが言っているから間違いない」などと鵜呑みにせず、一つ一つことに対して疑問を持ち、検証することで自分なりの信念を確立し、それに基づき生きていく。本当に「賢い人」というのはそういうことが自然にできる人ではないかと思います。

それを意識してか、最近の入試問題では上位校を中心に上記に基づいた問題が多く見られるようになりました(特に理科・社会)。これはいい傾向だと思います。つまり暗記一辺倒の入試問題では時代の要請に合わなくなってきたということです(暗記自体は勉強の基礎で大切ですが)。

「じゃがいもの生産量が北海道の次に多いのがどうして長崎県なの?気候が全然違うのに」年中こんなふうに物事を考え、解明しようとするタイプのお子様が、これからの中学入試の勝者になっていくのではないのかと思う次第でございます。