受験ドクター国語科のH.Kです。
国語、社会を専門としております。
まだまだ暑い日が続きますが、
もう秋が近づいてきています。
受験も間近に感じる時期となります。
そもそも「あき」という言葉の由来は、
この時期に穀物が「飽き満ちる」様子から来た
という説があります。
(たくさん実っているという意味です。)
これまで頑張って育ててきた学力が実を結び、
この時期から増えていく模試の中で
何か「収穫」があればと思います。
もちろん模試の成績というのは
「秋の空」のような一面もあるので、
一喜一憂しすぎないことも重要ですが・・・。
挨拶はこの程度としまして。
「はじめの国語相談室」第三回となりました。
毎回足をお運び頂いてありがとうございます。
国語の学習相談を受ける中で
特に多かったものを取り上げて、
その解決法を考えていきます。
では、今回は語彙力がないというお子さん。
「分からない言葉が沢山ある」と言って
読解が止まってしまうこともあるようです。
今回は、【言葉の力】を
増やしていくための「練習」を
紹介していけたらと思います。
ただその前に、
まずは受験に必要な語彙について
お話しておきますね。
<受験に求められる言葉の力>
今回【言葉の力】と呼んでいるのには、
実は理由があります。
受験に必要な【言葉の力】は
語彙力だけではないからです。
まずこの【言葉の力】を構成するのは、
下の2つの力になっています。
①語彙力
②換言力
では①語彙力から話していきます。
語彙力とはその文章内のどれだけの言葉を
知っているのかというものです。
ついでに、小学生の語彙数は
5000語~20000語だそうです。
(『図説日本語』林大監修・角川書店より)
しかし中学受験については
小学生に求められる語彙数だけでは
不足していると考えられます。
30000語くらいの語彙数があると、
多少分からない語があっても特に苦戦することなく
スラスラと読めるのではないでしょうか。
ただこの語彙力不足というのは、
そこまで心配していません。
中学受験生は多くの文章を扱いますし、
本来語彙力が増える状態にあるからです。
理解しながら読んでいれば自然に増えるはずです。
そうではなく、受験において
私が重要視しているのは、
②の換言力の方です。
国語という教科で重要なのは、
自分の言葉で言い換えることのできる
言葉の数であると考えています。
たとえば本文中では、
同じ言葉を別の言葉に換言しながら、
文章を進めています。
他にも選択肢問題は、
本文中に出てきた言葉を言い換えて
問題を作るようにしています。
この「換言力」が身に着けば、
間違いなく国語の成績は上がります。
ではどのように上げていくのか。
この方法を説明していきます。
<その言葉、どういう意味?>
【言葉の力】を増やすための
一番シンプルな方法は、
辞書による意味調べだと思います。
「紙辞書でないといけない」という意見もありますが、
中学受験生には時間がないものだと私は考えているので
電子辞書を用いても構いません。
そして調べる言葉に関しては、
問題で出てきたものに絞ってもらって構いません。
それが実際に使われる言葉だからです。
そして調べただけで終わらないことが重要です。
何かを定着させるためには
「アウトプット」が必要であることを考えましょう。
ここで用意してほしいものがあります。
この「意味調べノート」です。
使い方を説明していきましょう。
一番上段には意味が分からなかった単語を書きます。
これは普通ですね。
そして中段には、辞書に載ってある意味を書きます。
複数の意味がある単語の場合には、
最低でも一番目の意味ともう一つは書きましょう。
でも、これも普通です。
ここからが重要な作業になります。
残された下段、ここには
辞書の意味を自分の言葉に言い換えた意味を書きます。
生徒が書いたものがこうなります。
辞書に載っている言葉は、
本来自分では使わないものが多くあります。
だからそのままでは言葉の理解度は上がりません。
そこで自分の言葉に言い換えるのです。
それによって国語に必要な
換言力も養うことができます。
また言葉を調べていく際に
その調べた意味の中に
さらに分からない言葉があることがあります。
その場合には、その言葉も含めて
意味調べするようにしましょう。
最初のうちは換言のヒントを与えても良いですが、
極力自分で考えさせるようにしましょう。
いきなり上手な言い換えにならなくても構いません。
では「分からない語を調べてきましょう。」
と言ってやらせてみると、間違いなく!!!
その数は少ないことがほとんどです。
いや、もっと知らない言葉あるでしょ!
と言いたくなるのですが、
そこは少し我慢していただいて。
言葉を知らない子の多くは、
そもそも自分がどんな言葉を知らないのかが
分かっていない状態にあるのです。
少ないと感じた場合には、本文中の中で
本人が調べてはいないが、意味を説明できなさそうな語句について
聞いてみると良いでしょう。
「この言葉、どういう意味でしょう?」と。
簡単な語に見えても説明できないものが多くあります。
それを説明できるようにするのが、
この意味調べノートの役割になります。
また一日の終わりなどにノートをチェックして、
きちんと自分で言えるかどうかの
「アウトプット」も忘れずに!
<換言、大歓迎!>
換言の練習は日常でも簡単にできます。
キークエスチョンは、
「その言葉、どんな意味なの?」です。
それがもしスムーズにできるようになれば、
言葉を知らない、という悩みは
きっと消えているはずです。
【言葉の力】は受験の最後に
数点の差を生むことになります。
お悩みの方は
是非一度やってみてください!
少しでもお助けになればと思っています。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
では、また次回お会いしましょう。