みなさん、こんにちは。受験ドクターの亀井章三です。
プロフィールにも書いていますが、私の趣味・特技は競技かるたです。
最近は漫画やアニメ、映画にも取り上げられ競技人口も増えている、
人気の競技かるた。この競技、反射神経の勝負のように見えますが、
勝負を決めるのは「記憶力」です。
試合前の15分間で、お互いが並べた25枚ずつの札計50枚をおぼ
えます。そして、試合が始まるとどんどん札が詠まれていきますので、
まだどの札が詠まれていないかをおぼえていかないといけません。
ルールを読むだけでかなり頭が疲れそうになりませんか?脳の疲労
は大きく、試合の合間にチョコレートで脳に糖分を補給する選手もい
るほどです。
この競技かるたで培われた記憶力。もちろん勉強に活かすことは可能
です。いま、多くの中学・高校・大学で競技かるた部が作られています
が、多くの選手は勉強もしっかりこなす文武両道タイプの人です。
今回はこの「暗記法」について書かせていただきます。
<暗記はインプットよりアウトプットが重要>
先ほど競技かるたのルールの中で、15分間で50枚の札の位置を全
ておぼえる、とありますが、これは「おぼえる→思い出す→おぼえる→
思い出す→おぼえる…」と、おぼえることと思い出すことセットにするこ
とによって短時間で可能になります。
つまり、記憶はただ詰め込むだけではダメで、必ず思い出す作業をセット
にすることで、スムーズに脳から引き出しやすくなるのです。
そこで、暗記物は一人で黙々とするより、誰かに質問してもらって
答えを思い出すようにすると良いでしょう。
<どうすれば思い出しやすくなる?>
では、どうすればより思い出しやすくなることができるでしょう?
それには様々な方法がありますが、私がよく使っているのは、
①いくつかの事柄を関連づけておぼえる
②イメージとともにおぼえる
の2つの方法があります。
①いくつかの事柄を関連づけておぼえる
百人一首には
ちはやふる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは
という歌があります。
この札が相手の陣にあったとすると、
相手の陣に「ちはやふる」の札がある、とだけおぼえるのでは
ありません。他の札もセットにしておぼえます。
同じ「ち」で始まる「ちぎりきな」という札が自分の陣にあれば、
相手の陣に「ちはやふる」、自分の陣に「ちぎりきな」
とおぼえます。そうすることで、どちらが詠まれても無理なく反応
することができます。
勉強でも同じ原理やジャンルにくくれるものはまとめておぼえると
思い出しやすくなります。
例えば、理科の天体という単元では、太陽、月、星の動きを
おぼえます。これらは全て地球が自転しているため、動いている
ように見えるというところでつながっています。
ということは、太陽も月も星も1日の中での動きは全て同じになります。
したがって、太陽の動き方とこの共通する原則を思い出せれば、
月の動きも星の動きも思い出せます。
このようにすでにおぼえていることに関連付けておぼえることで、
より多くのことをより確実に思い出せます。
<範囲は狭く、回数は多く>
試合中に、どの札がどこにあって、まだ詠まれていない札は何か、
ということも常に記憶していきます。
そのときに毎回全ての札を確認するよりも、最初は詠まれた札に
関連する札だけを重点的に確認するようにします。
忘れたらどうしよう、と心配してたくさんのことを無理におぼえるよ
りも、たぶんおぼえているから大丈夫、と自信を持って、忘れそう
なところを何度もおぼえるほうが、時間的にも有効というわけです。
例えば社会の歴史を思い出してみてください。
テストの度に縄文時代から現代まで、全ておぼえているかを確認
するのはどうでしょう。効果的ではありますが、時間もたくさんかか
りますし、何より脳への負担は大きいです。
そこで、テストで出題された部分のみ、その都度確認していきま
しょう。時代によって出題頻度も異なりますので、確認する回数
はバラバラになります。しかし、出題されやすい時代・内容は何度
も何度も確認することになりますので、無駄が少なくて良いです。
<今回のまとめ>
・おぼえるときは思い出すこととセットにしましょう。
・1つ1つをおぼえるのではなく、いくつかの事柄を関連づけしましょう。
・1回の暗記では、おぼえる範囲は狭く、回数は多く。
次回は、「文章題の読み方」について書かせていただきます。