みなさん、こんにちは。受験ドクターの亀井章三です。
夏の学習も終わり、その成果を試すいろいろなテストが行われて
います。何点取れたか?という点数も勿論気になるところですが、
点数と同じくらい気になるのが「偏差値」と「合格可能性」。
毎回の試験結果で偏差値の上がり下がりに一喜一憂することや、
試験の手ごたえはあったものの合格可能性があまり上がっていな
かったことありませんか?
今回は皆さまを悩ませる「偏差値」と「合格可能性」の考え方に
について、お伝えしたいと思います。
<偏差値は「学力のモノサシ」>
そもそも偏差値とは何でしょう?きちんと説明するためには、高校
のときの数学の授業を思い出して、標準偏差という言葉を思い出
す必要があります。
その話をしていくと大変なので、簡単に言いますと、
「偏差値はテストを受けた人の中で、どれくらいの位置にいるかを
示す値」が偏差値です。
同じように相対的な位置を示す値に「順位」がありますが、順位は
テストを受けた人数や顔ぶれによって変動します。一方、偏差値は
人数や顔ぶれに関わらず、いつも同じ基準で位置を表すことができ
ます。そういう意味で偏差値は的確に自分の学力の位置を把握す
ることができる指標なのです。
一般的な成績の分布で、偏差値と上から何%の位置にいるかを
示したのが、次の表です。
偏差値 |
上から何%の位置にいるか |
75 |
約1% |
70 |
約2% |
65 |
約7~8% |
60 |
約15~16% |
55 |
約30% |
50 |
約50%(真ん中) |
45 |
約70% |
ただし、気をつけてほしいのは「偏差値」=「学力」と単純に結び
つけないことです。
テストの成績は、当日のコンディションや問題との相性によって
常に変動します。今回偏差値60が取れたとしても、毎回60取れ
るとは限らないのです。
だいたい変動の幅は±3くらいと言われています。偏差値60でした
ら57~63がその人の潜在的な学力と言えます。
この変動をできるだけなくして自分の学力を知るには、同じ模試を
何か月か続けて受け、その偏差値の平均値を見ると良いです。
たとえば合不合判定テストの場合、9月のテストだけの成績よりも
9~11月の成績の平均値のほうが、自分の本当の学力を正確に
表しており、こちらで志望校の選定などを使っていくと良いでしょう。
<合格可能性50%って、どう考えればいいの?>
受験生にとって、模試の成績でもう一つ気になるのが、志望校の
合格可能性です。
ここでのポイントは、合格「可能性」であり、合格か不合格かを決め
るものではないということです。当たり前といえば当たり前です。
毎年、模試の合格可能性で80%を取っていても、合格できず涙を
飲んでしまうお子様がいらっしゃいます。そのお子様はなぜ20%の
ほうの結果になってしまったのでしょうか?
あえて一つ要因を考えるのであれば、その判定が出た模試で、その
お子様より成績が低かったお子様がその後努力して逆転をしたか
ら、ではないでしょうか。
合格可能性50%のお子様からも、合格可能性30%のお子様から
も合格者はでているはずです。
つまり、合格可能性80%は「10人受けたら8人合格が出るくら
いの成績が取れているから、その8人の中に入るように今までと
同じ努力を続けましょう」という意味なのです。
合格可能性50%は「10人受けたら5人合格がでるくらいの成績
であるから、その5人の中に入るのは今までよりももう少し努力を
していきましょう」という意味です。
模試の成績で合否は決まりません。試験当日に向けてどれだけ
努力を重ねたかで決まります。そのために、模試の成績からしっか
りと分析をし、続けて努力していくことが大切なのです。
次回は算数の難しい問題を解くポイントについて書かせていただ
きます。
<今回のまとめ>
・偏差値は同じ種類の模試を何回か受けて、その平均値を見ましょう。
・合格可能性はあくまで「可能性」。それを実現させるために油断せず、
努力を重ねることが大切です。