みなさん、こんにちは。受験ドクターの亀井章三です。
4月になり春満開です。新学期も始まり心機一転頑張りましょう!
今日は受験算数でも1、2を争う面倒くささの「場合の数」についてです。
しかし、出題する側もそのことは重々承知しており、スムーズに解く方法を
こっそり教えてくれています。そんな場合の数の誘導と「余事象」について
今日は説明してまいります。
問題 下の図の7つの部分にそれぞれ色をぬっていきます。辺と辺でとなりあう
部分には同じ色は使えません。絵の具は赤・青・黄・緑・紫の5色あります。
次の問いに答えなさい。ただし、回転させて同じになるぬり方は別々のぬ
り方とします。
(1) 色を何色使ってもよい場合、ぬり方は全部で何通りありますか。
(2) 5色の色を全て使ってぬり分ける場合、ぬり方は全部で何通りありますか。
この問題のポイントは(1)と(2)の出題の順番です。
(1)は何色使ってもよい場合、(2)は5色使う場合、と(1)のほうが答えは多く、
(2)の組み合わせは全て(1)に含まれます。
このように、後ろの設問の答えが前の設問の一部である場合、
前の設問から後ろの設問以外の組み合わせ(余事象)を除く
解き方が有効です。
たとえば、この出題が、
(1) 5色の色を全て使ってぬり分ける場合、ぬり方は何通りありますか。
(2) 色を何色使ってもよい場合、ぬり方は全部で何通りありますか。
であったら、
前の設問以外の組み合わせ(余事象)を考え、それらを全て合計する
解き方が有効です。
どちらが前にくるかは決まっています。それは解きやすいほうが必ず前の
設問にきます。したがって、この余事象の使い方を知っておけば、難しくなる
後の設問に対しても、何を考えればよいかがわかるわけです。
それでは、解説をしていきましょう。
設問(1) ぬり分けの場合、各部分にア、イ、ウ…やA、B、C…といった名前を
つけ、それぞれの部分ごとに何通りの色がぬれるかを考えます。
そこで、次のようにア~キの名前をつけます。
何色つかっても良いということは、となりあう部分と異なる色を使う、という
条件だけ考えればOKです。
ア…5色どれでもよい。5通り
イ…アと違う色。4通り
ウ…ア、イと違う色。3通り
エ…ア、イ、ウと違う色。2通り
オ…イと違う色。4通り
カ…ウと違う色。4通り
キ…エと違う色。4通り
したがって、5×4×3×2×4×4×4=7680通りと求められます。
設問(2)
そのまま5色使うぬり方を考えると、まず何か所同じ色にぬるかを考え、
そこからどこに同じ色をぬるかを考え、最後にどの色を使うかを考えます。
これはかなり大変な作業です。そこで、余事象を考えてみましょう。
真ん中の三角形にあるア~エはそれぞれがとなりあっているため、少なく
とも4色使わないとぬり分けできないことになります。
よって、設問(1)の全てのぬり方は「5色使うぬり方」と「4色使うぬり方」の
合計になっていることがわかります。
ということは、この図形を4色使ってぬり分ける組み合わせを求めれば、
引き算をすることで5色使ってぬり分ける組み合わせも求められます。
では、4色使うぬり方はどうやって求めるのか?それは先ほど5色で考えた
部分を4色に減らせばよいのです。つまり、初めから絵の具は4種類しかな
いものとして考えるわけです。
ア…4色どれでもよい。4通り
イ…アと違う色。3通り
ウ…ア、イと違う色。2通り
エ…ア、イ、ウと違う色。1通り
オ…イと違う色。3通り
カ…ウと違う色。3通り
キ…エと違う色。3通り
4×3×2×1×3×3×3=648通り となります。
あとはもともと用意された5色のうち、「どの4色を選ぶのか」という組み合わせ
をかけてあげましょう。648×5=3240通り
したがって、設問(2)の答えは、7680-3240=4440通りとなります。
いかがでしたか。場合の数は合否を分けるポイントともなります。
出題者の意図を酌んでよりよい解法を選択できるようになりましょう。
それではまた次回のブログで。