みなさん、こんにちは。受験ドクターの亀井章三です。
今日のテーマは、「面倒な相似や面積比の問題を解くコツ」です。
相似や面積比を使った問題は、多くの学校で出題される単元です。
与えられた図から必要な情報を読み取る作業は難しく、
どう考えていいのかわかりにくいです。
そんな相似や面積比の問題を楽に解けるようにするコツを2つ
説明したいと思います。
それが「背筋を伸ばして」と「具体的に」です。
まずは「背筋を伸ばして」です。
次の問題をご覧ください。
【聖光学院中 平成27年第2回】
下の図1のような五角形ABCDEがあり、辺ABと辺DC、辺AEと辺BCは
それぞれ平行です。また、ADとBEの交点をPとします。
AB:DC=2:1、BC:AE=3:2であるとき、次の問いに答えなさい。ただし、比は
最も簡単な整数比で答えるものとします。
(1)三角形ABCと五角形ABCDEの面積の比を求めなさい。
(2)BP:PEを求めなさい。
(1)はいきなり、三角形と五角形の面積の比を求める問題です。
五角形なんてよくわからない…となっては、解答できません。
ここで1つ目のポイント!「背筋を伸ばして」です。
このような平行四辺形を元にしたような「ちょっと傾いている図形」は
角を直角にし、長方形や正方形をモチーフにした図形にすると、見や
すくなります。
えっ?勝手に形を変えて大丈夫なの?と思われるかもしれません。
でも大丈夫なんです。問題文にある条件は「五角形」「辺ABと辺
DC、辺AEと辺BCはそれぞれ平行」なので、これを満たす形は
問題なく正解にたどりつけるわけです。
また、(2)に備えて2つ目のポイント!「具体的に」です。
これは、「比や割合(何倍か)を求める問題では、辺の長さを勝手に
決めても大丈夫!」という考え方です。
こちらも聞いただけでは信じにくいと思いますので、実際にこの2つ
のポイントを用いて、この問題を解いてみましょう。
まずは、図形ですが、角A、角B、角Cを直角として、下のような形に
します。
これだけでも、何となく面積が出せそうな気がしませんか?
次に辺の長さです。
条件は、AB:DC=2:1、BC:AE=3:2、なので
AB=4㎝、DC=2㎝、BC=6㎝、AE=4㎝とします。
もちろん長さは何でも構いませんが、比で分けられる数にしておくと
計算が楽になります。
また、AEとCDをそれぞれ延長して交わる点をFとします。
ここまでの情報をまとめて図を整理します。
では(1)です。三角形ABCの面積は、4×6÷2=12㎠
五角形ABCDEの面積は長方形から三角形DEFをひいて求めると
4×6-2×2÷2=22㎠
したがって、面積の比は12:22=6:11 と簡単に求められました。
続いて(2)です。
BDに補助線を引きます。そうすると、BP:PEは、
三角形ABDと三角形AEDの面積比を等しくなります。
これは根本原理「逆さ富士型の面積比」です。
三角形ABD=4×6÷2=12㎠
三角形AED=4×2÷2=4㎠
よって、BP:PE=12:4=3:1 とこちらも簡単に求められました。
いかがでしたか。この「背筋を伸ばして」と「具体的に」は
いろいろな図形に有効な考え方です。習った公式通りにあてはめ
ようとせず、習った知識を活用し、図形や数値をうまく変化させる
ことこそが、算数満点への道です。頑張ってください。