みなさん、こんにちは。受験ドクターの亀井章三です。
今年は東京都知事選挙が行われました。
選挙の問題といったら社会の問題のような気がしますが、算数でも選挙を扱った
「投票算」があります。今回は、投票算を解くための手順を整理していきましょう。
予定していた「立体図形で順逆自在の術!」はこの次に延期します。
まずは、この問題をご覧ください。
ドクター中学校の生徒会役員を決める選挙が行われます。
当選するのは、得票数の上位4人です。
投票する生徒は全部で240人です。
この選挙に、A、B、C、D、E、Fの6人が立候補しました。
(立候補者も投票できるものとし、投票数の合計は240票です)
投票が終了し開票が始まりました。
途中まで開票が進み、下の表のようになりました。
【問題】
Cが確実に当選するには、あと何票獲得すればよいですか。
最も少ない数を答えなさい。
みなさん、わかりますか?Cは現在第3位。かなり有利な状況と言えます。
では、解答の道筋である「論理プロセス」を示していきましょう。
プロセス1 最も厳しい戦いとなる、「争う人数」を求める
最も厳しい選挙戦を想定して、そこで必ず勝てるのであれば、それよりも厳しくない
選挙戦では余裕で当選できます。
この最も厳しいというのは、当選人数+1人で争う、ということになります。
1人当選でしたら、2人で争う。2人当選でしたら、3人で争う。
そして、問題のように4人当選でしたら5人で争うときが最も厳しい選挙になります。
プロセス2 最も厳しい戦いで、「当選確実となる票数」を求める
当選が確実というのは、候補者全員が同点になり得ないということです。
全員が同点になる可能性があれば、選挙ではなくジャンケンになってしまい、
確実に勝てるとは言えません。
この問題では240票を5人で取る場合を想定しますので、
240÷5=48 となります。この48票だと5人全員48票になる可能性があります。
そこで、これよりも1票多い49票を取れば、5人全員が同点になることはなく、
確実に4位以内に入ることができます。
勝つための票数は、候補者全員が同点になる最大の数+1、とおぼえましょう。
ここまで来たら、実際の途中経過を用いて考えます。
プロセス3 これ以上、票が増えなくていい人を除く
接戦を考えるためには、これ以上その人に票が入っても意味がない人を、
選挙戦から除く必要があります。それは、
①この時点で当選が決まっている人
プロセス2で49票取れば確実に当選するとわかりました。したがって、
60票とっているAは当選確実です。選挙戦から離れてもらいましょう。
②最も厳しい争い(当選人数+1人)よりも順位が下の人
Aを除くと、残り当選人数は3人です。ということはA以外で上から4人の
争いを考えることになります。そうすると、現在6位のFは選挙戦から除外
することになります。
この結果、誰が争っているのか、あと何票残っているのか、を整理しましょう。
プロセス4 現在トップの人の得票数に全員並ぶ「ハラハラドキドキの展開」を作る
常に、最も厳しい選挙を考えないといけません。見方を変えれば、最後まで
誰が当選するかわからない「ハラハラドキドキ」する状況を考えるわけです。
それは、現在トップのBの42票に全員(B・C・D・E)が並ぶという状況です。
そのためには、Cはあと11票、Dはあと14票、Eはあと20票取らないと
いけません。しかし、この合計は45票となり、残り40票よりも多くなりました。
これはどういうことでしょう?
そうです、BはC・D・Eの全員に追いつかれることがなく、当選確実!という訳です。
したがって、Bも選挙戦から離れてもらいましょう。
もう一度プロセス4
今度は、現在トップのCに並ばせます。
Dはあと3票、Eはあと9票とればCに追いつきます。これは残り40票だと
可能な票数です。
プロセス5 最後の混戦を勝ち切るための票数を求める
結局、C,D,Eの3人で残り28票を取り合うという選挙になりました。
ここで勝つための票数はステップ2と同じ考え方になります。
全員が同点にならない最少の票数を取れば当選確実です。
28÷3=9あまり1 9+1=10
よって、Cはあと10票とれば当選確実です。
では、これがDやEだったらどうでしょう。
Dの場合、Cに追いつくのに3票必要、そこから勝ち切るのに10票必要なので、
3+10=13票取れば当選確実になります。
Eの場合、Cに追いつくのに9票必要、そこから勝ち切るのに10票必要なので、
9+10=19票取れば当選確実になります。
以上が投票算の論理プロセスになります。
論理プロセスは、算数の問題を解く上で必ず通る手順ともいうべきものです。
ぜひマスターしてください。今回はここまで。また次回お会いしましょう。