みなさん、こんにちは。受験ドクターの亀井章三です。
今回は3つ以上の不定方程式について解説します。
不定方程式は解が1通りに限定されない式です。
たとえば、2×〇+3×□=20、という式を満たす整数〇、□の組は
(10、0)(7、2)(4、4)(1、6)の4組あります。
2種類であれば片方を調べていくことでみつけることができます。
この記号が3種類以上になったものが、3つ以上の不定方程式です。
たとえば、2×〇+4×△+5×□=30、という式を満たす整数〇、△、□の
組を求める、というものです。
そこでポイントとなるのが仲間外れです。
具体的に問題を使って説明していきます。
よしこさんは魚屋さんで次の魚をどれも1ぴき以上、
ちょうど3,600円分買いました。
さば(1ぴきあたり130円) あじ(1ぴきあたり170円)
いわし(1ぴきあたり78円) さんま(1ぴきあたり104円)
さて、よしこさんはあじを何びき買ったことになるでしょう。
(第1回算数オリンピック予選問題)
これは4つの不定方程式になっています。
同じような問題が女子御三家の学校でも出題されていて、かなり有名な
問題です。
まずは式にしてみます。
さばをAひき、あじをBひき、いわしをCひき、さんまをDひき 買ったとします。
130×A+170×B+78×C+104×D=3600
とりあえず、130、170、78、104、3600の全てが偶数なので
全体を2で割り、数字を小さくします。
65×A+85×B+39×C+52×D=1800
ここからひとつずつ調べていくのは大変。
そこで、もう一度A~Dにかけている数字を見てみましょう。
65、85、39、52 この中には1つ仲間外れの数字があります。
それは何でしょう?
52、という答えがまず思いつくでしょうか。
これだけ偶数、あとは奇数。
たしかに。まだ他にもありますがわかりますか?
その数字は、85です。
残りの65、39、52にはある共通点があります。
そう、65、39、52は全て13の倍数です。
この〇〇の倍数という共通点を使うと覚えておきましょう。
先ほどの奇数という共通点は「2の倍数+1」なので使いにくい条件です。
そうすると、65×A、39×C、52×Dは
13×(5×A)、13×(3×C)、13×(4×D)となり、積は全て13の倍数です。
よって、65×A+39×C+52×Dの答えも13の倍数です。
では、1800はどうでしょう。
1800÷13=138あまり6ということで、13の倍数+6という数です。
このあまりの「6」、これはどこから来たのでしょう?
そう、仲間外れの85×Bから来ています。
1800÷85=21あまり15より、
Bは、
・1以上21以下の数
・85×Bを13で割ると6余る
という2つの条件を満たす数になります。
調べていきましょう。
すると、B=12のとき、85×12=1020、1020÷13=78あまり6となり
条件を満たす数だと分かります。
ここから、問題で聞かれているあじの数は12ひきと求められます。
他の魚は考えなくていい?と思われるかもしれません。
他の魚の組み合わせは複数あり、1つに限定できません。
だから、この問題は答えが1つしかない「あじ」を答えさせているのです。
いかがでしたか。3つ以上の不定方程式のポイントは、
①式にする
②最大公約数で割って、全体の数字を小さくする
③かけ算に入っている数字を見て、「〇〇の倍数」という条件に合わない
仲間はずれを見つける
④式の答え(今回の例だと1800)と、仲間外れのかけ算の答え(今回の
例だと85×B)を〇〇(今回の例だと13)で割った余りが等しくなるように
仲間外れの数を見つける
⑤他の数(A、C、D)を求めたければ、仲間外れの部分を引いて、残りの
不定方程式を作り、①に戻る
となります。ぜひ練習してみてください。