みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。
2022年も残りあとわずかです。今年の目標は無事達成できましたか?
やり残したことがあれば、2023年に達成できるよう頑張りましょう。
【1】そもそも「割合」って何?
今回は「割合」についてです。
割合は、2つの数量(AとBとします)が何倍の関係にあるかを表したもので、
AがBの〇倍というとき、Aを比べる量、Bを元にする量と言います。
計算式で表すと、B×〇=Aとなり、割合である〇は、A÷Bで求めます。
このように、割合を文章や数式で説明すると堅苦しく、理解しにくいものになります。
そのため、割合の文章題を解くための図を教えることもあります。
たとえば、下のような「テントウムシ」とも呼ばれる図がその例です。
この図は、速さと距離と時間の関係をまとめ、どのように計算すれば求められる
かを説明している図です。
このように、原理や理屈をおぼえにくい場合、視覚に訴えて記憶していく
方法は有効な手段の一つです。
そこで今回は、私が指導で使っている割合たすき掛けをご紹介したいと思います。
【2】割合たすき掛けの書き方と使い方
割合たすき掛けは、比較する2つのものを、単位ごとに並べてつくる図です。
次の問題例をご覧ください。
例 100g250円の豚肉があります。この豚肉を480g買うと何円ですか?
比べるものは「基準となる豚肉」と「買う豚肉」。そろえる単位は「g」と「円」です。
並べてみましょう。分からないところ(求めるところ)は□とします。
図はこれだけです。では、□を求めましょう。
たすきとは、和服を着る時に動きやすいよう使うもので、たすきを掛けた背中を
見ると×印になっています。そこから、斜めに数字を結ぶ様子をたすき掛けと
言います。
4つの数字・□を対角線で結びます。
2本の対角線のうち、両端に数字が入っているものをかけて積を出し、
それを□とつながっている数字で割れば□が求まります。
この場合は、480×250=120000、120000÷100=1200となり、1200円と
答えが出ます。
式をつなげて、480×250÷100=1200としてもOKです。
この、「2つある組をかけて、残りで割る」というふうに、作業を統一すること
で、どこを求める場合でも(基準の重さ・値段・買うものの重さ・値段)、同じ
方法で求められるのが、この方法の長所です。
【3】たすき掛けの様々な使い方
1 速さの問題
速さの問題は、「速さ」「時間」「距離」の3つの要素から出来ています。
たすき掛けを使えば、「速さ」を求めなくても答えを出すことができます。
例 3㎞の道のりを2時間30分で進む速さは分速何mですか。
速さの場合は、求めるものに単位をそろえてからたすき掛けをします。
今回は分速mなので、2時間30分は150分に、3㎞は3000mにします。
図を描いてみましょう。
求めたいほうを基準とすると、このような図になります。
したがって、3000×1÷150=20
分速20mが答えとなります。
2 食塩水の問題
食塩水の問題は「食塩水の重さ」「食塩の重さ」「濃さ」の3つの要素から出来て
います。ここでは、食塩水=全体ととらえ、食塩水の濃さを100%として図を作り
ましょう。
例 濃さ8%の食塩水250gには何gの食塩がとけていますか。
図を描いてみましょう。
%は小数に直さず、そのまま使うことができます。
計算すると、250×8÷100=20
20gが答えとなります。
【4】今回のまとめ
文章題が苦手なお子様は、問題文を読んでパターンに分類することが苦手です。
さらに、パターンごとに異なる計算方法を作ってしまうと、一つひとつおぼえきれず
混乱してしまいます。
例えば、速さを求めるときは「距離÷時間」という割り算なのに、距離を求めるとき
は「速さ×時間」とかけ算することになります。おぼえようとしても、どちらがどちらか
わからなくなります。
そこで、どの場合でも共通して使え、同じ計算方法でできるやり方が有効です。
割合たすき掛けは、構造は単純ですが使いやすいものと思いますので、算数が苦
手なお子様は一度使ってみてはいかがでしょうか。
今回はここまで。皆様良いお年を。