みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。
新年度の学習が始まり一か月が経ちました。
もう自分の学習ペースはつかめてきましたか?
無理のないペースで学習を続けていきましょう。
昨今の中学入試における算数の問題は、解き方が難しい(思いつかない)問題より
も、解き方はわかるけど作業が面倒でミスしやすい問題がよく出題されています。
こういった「算数作業力」ともいうべき力は、普段の学習からコツコツ練習していくことで身につけることができます。
別の言い方をすると、難しい問題が解けても、作業力がついていないと、解き方が
分かった時でもミスをしてしまう可能性が高くなり、テストの点数に結びつかないこと
になります。
今回は、今春の入試問題を用いて、算数作業力をどのように使って解くのか、
そして身につけるための方法をお伝えします。
まずは作業に入るための下準備についてです。
使用するのは筑波大附属駒場中学の2023年入試大問4です。
信号を用いた速さと規則性の問題です。
この問題では3つの信号が登場します。それぞれの信号は青→点滅→赤→青→…
と青・点滅・赤をくり返します。
青・点滅・赤の時間は信号ごとに異なっており、
信号機A 青30秒間→点滅10秒間→赤20秒間
信号機B 青40秒間→点滅10秒間→赤30秒間
信号機C 青50秒間→点滅10秒間→赤40秒間
となっています。
信号が赤から青に変わった瞬間や、青から点滅に変わった瞬間も渡ることができます。そして、11時00分00秒に全ての信号が赤から青に変わりました。
この設定の中、設問は全部で3問あり、
(1)11時00分00秒に家を出発し、最も早く目的地に着く場合の時刻
(2)11時30分00秒に目的地に着くために、最も遅く出発するための時刻
(3)11時31分00秒に目的地から家に向かって出発した姉と出会う場合に
最も遅く家を出発する時刻を求めます。
算数作業力を高めるための1つめのポイントは、設問をまず全て見て、「全部の問題を解く上で一番効率の良い方法」を考えることです。1つ1つ考えていくより、全てに共通するものを最初に作ることで時間の短縮と効率化の両方を図ります。
この問題は全て時刻を問われており、信号をいつ渡るかを考えることになります。
早く目的地に着くことを考えると、信号の所に着いたときに青だったら時間の無駄
がなく良いことになります。遅く出発する場合も、信号で待つ時間がなければ良い
です。そのため、予め3つの信号の青の時刻表を作成しておけば、いつ出発すると
良いか、表を見ながら考えていくことができ、効率よく作業ができるわけです。
鉄道を利用して移動する場合このような発想に至ります。それを算数の問題でも
活用しているわけです。
そこで、例えば次のような時刻表を作ると良いです。
分・秒で表示するのは面倒なので、11時00分00秒から何秒後かを書きます。
実際に作業してみると分かりますが、計算する量はそこまで多くありません。
Aは60秒周期なので、最初の00~30を求めたあとは、60ずつたしていきます。
Bだと80ずつ、Cだと100ずつたしていきます。
少し時間をかけてこの表を作るだけで、全ての設問が解きやすくなります。
今回のまとめ
問題全体を見て、何を準備すれば全体が効率よく解けるかを考えてから行動する
次回も算数作業力を高めるポイントをお伝えします。