みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。
もうすぐ4月ということで新学期もスタートします。
年度の始まりは何かをスタートするにはうってつけです。
ぜひ新しいことにチャレンジしてみてください。
今回も前回に引き続き「算数作業力」についてお話します。
前回は、問題全体をまず読み、どういう準備・作業を行えば、
効率よく全ての問題を解くことができるか考えてみましょう、
という内容でした。
今回は、全体の作業量を推測する「見積り」についてです。
まず、灘中2018年度一日目大問3を使って説明します。
問題 4個の整数a,b,c,dがあり、bはaより1大きく、cはb
より1大きく、dはcより1大きいです。
a×b+b×c+c×d+d×aを計算すると2400に
なるとき、aはいくつですか。
数学を習った人は、b=a+1、c=a+2、d=a+3として、
aの二次方程式を解けばいいのでは?と思うでしょう。
では、二次方程式を知らない小学6年生はどうすれば解けるのでしょうか。
まずは作業量と作業時間を見積もります。
2400÷4=600 として、a×bの答えが600くらいになると予想できます。
そうすると調べる個数もせいぜい3~4個くらいです。
かけ算する時間を考慮すると5~6分で解けそうです。
それであれば悩むより、どんどん手を動かしていく方が得策だと分かります。
24×24=576だから、a=24として計算してみましょう。
24×25+25×26+26×27+27×24=600+650+702+648=2600
ちょっと大きかったようですが、かなり近いことがわかります。
では、a=23にします。
23×24+24×25+25×26+26×23=552+600+650+598=2400
はい、これで終了です。答えは23でした。
このように、作業量と作業時間を見積もることで、この問題を
解く価値が高いかどうか(コストパフォーマンスが良いかどうか)
が分かり、実際の作業に速く進むことができるわけです。
もう一問、同じく灘中2019年度一日目大問6を使って説明します。
問題 89の倍数と113の倍数を、
89、113、178、226、……
のように小さいものから順に並べるとき、50番目の
数はいくつですか。
なるとき、aはいくつですか。
これは50個書いていくと良くて、かけ算1つに30秒とすると
25分くらいかかるかな?
と見積もるのは誤りです。
少しだけ数の性質を使って作業を楽にします。
89と113はどちらも素数だから、89×113の値まで公倍数はない
そこまでに89の倍数は113個、113の倍数は89個あるから
だいたい200個の数字が並ぶはず
とすると、50番目の数は89×113÷4の値の近くにある
と考えられます。
調べる個数はやはり4~5個くらい、時間は5分くらいと
見積もることができます。
89×113÷4も概数を用いて、90×110÷4とすると暗算で求められます。
90×110÷4=2475
ということで、1から2475までの中にある89の倍数と
113の倍数の個数を求めます。
2475÷89=27あまり72
2475÷113=21あまり102
89×27=2403が、48番目の数とわかり、あと2つです。
49番目は113×22=2486
50番目は89×28=2492 よって、答えは2492です。
いかがでしたか。一見難しく思える問題や、難解な理論を要する問題でも、作業量と作業時間を考えることで、実は手を動かし計算していくだけで難なく正解にたどりつけるというわけです。
今回のまとめ
問題全体を見て、難易度だけでなく作業量・
作業時間を見積もることで、その問題を解くか
どうか判断する
次回もよろしくお願いします。