みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。
今回は時計の長針と短針が成す角度を考える時計算という問題についてです。
時計算は旅人算の特殊算とも言われており、やや難しい問題です。
その時計算の解き方を整理していきたいと思います。
1 時計の動きの基本情報をおぼえる
いわゆる「旅人算」では、登場人物や動く点の速さはバラバラです。
しかし、一般的な時計の針は全て同じ動き方をするので、針が回転する速さは
常に同じものになります。ということは、いちいち速さを計算して求めるのではなく
おぼえてしまうことが必要です。
長針(分針) 1時間で1周=60分で360度=分速6度
短針(時針)12時間で1周=720分で360度=分速0.5度
秒針は応用問題になると出現しますが、今回は割愛します。
時計の針の速さの単位は1分あたりの角度で表されます。これを角速度と
言います。
また、旅人算では兄と弟が同じ方向に進んだり、反対方向に進んだり、と動き
は様々ですが、時計の針は文字通り時計回りにしか進みません。このことも当
たり前ですが、しっかりとおぼえておきましょう。
2 〇時△分の時の角度を求める(1)
ここからが本題です。
問題 4時16分のとき、時計の長針と短針が成す角度のうち、小さいほうの
角度は何度ですか。
この問題について考えてみましょう。
今回のテーマは、「解法のパターン化」です。つまり、〇と△がどのような値でも
あてはめれば解くことができる「公式」を作っていきます。
まずは2つの針が出発する時刻を考えます。
長針も短針も時計の文字盤上の数字を指しているとすれば、2つの針の間の
角度や位置関係も理解しやすくなります。
短針が数字を指すのは「〇時ちょうど(〇時0分)」の時だけです。
そこで、今回は4時ちょうどの時からスタートします。
4時ちょうどの時、長針は「12」を短針は「4」を指しています。
この時の針が成す角度ですが、重要なポイントがあります。
これから2つの針はともに時計回りで進んでいきます。この状況を、
「短針よりも後ろにいる長針が、短針を追いかけていく」
と捉えることです。
文字盤の12と4の間は、30×4=120より、120度離れています。
つまり、状況としては
「短針よりも120度後ろにいる長針が、短針を追いかけていく」
ということです。
7時ちょうどでしたら、2つの針が成す小さいほうの角度は150度ですが、
長針が短針を追いかけると考えた場合、大きいほうの210度が7時ちょうど
の角度と言えます。
ここで「パターン化」です。
4時ちょうどの時の角度が120度、7時ちょうどの時の角度が210度であるなら、
〇時ちょうどの時の角度は、(〇×30)度ということになります。
したがって、「短針よりも(〇×30)度後ろにいる長針が、短針を追いかけていく」
となります。
3 〇時△分の時の角度を求める(2)
では、2つの針を動かしていきます。
長針は16分で、16×6=96度進みました。
短針は16分で、16×0.5=8度進みました。
よって、2つの針が成す角度は、120-96+8=32度となります。
これを「旅人算」の目線で見てみましょう。
1分間に長針のほうが、6-0.5=5.5度多く進みます。
今、長針は短針を追いかける立場にあるので、1分間で2つの針の間の
角度が5.5度「縮まる」ということになります。
したがって、16分では16×5.5=88度縮まることになり、
120-88=32度なります。
では、次の場合はどうなるでしょうか。
問題 4時32分のとき、時計の長針と短針が成す角度のうち、小さいほうの
角度は何度ですか。
始めの角度は、4×30=120度で変わりません。
32分間で、32×5.5=176度縮まることになります。
しかし、176は120より大きく、120-176という計算はできません。
どうすればよいでしょうか?
正解は、176-120=56という引き算をすれば大丈夫です。
176度近づく→120度近づいて長針と短針が重なる→その後56度長針が
短針から離れていく、ということです。
ここで「パターン化」です。
△分で長針は短針より(△×5.5)度近づくことになります。
〇時ちょうどの時の角度は(〇×30)度なので、(〇×30)と(△×5.5)の差を
求めれば、〇時△分の時に2つの針が成す角度を求めることができます。
4 〇時△分の時の角度を求める(3)
パターン化も無事できたので、これ以上やることはないのでは?と思ったので
あれば詰めが甘いです。
この問題はどうなるでしょうか?
問題 1時48分のとき、時計の長針と短針が成す角度のうち、小さいほうの
角度は何度ですか。
先ほどのパターン化を使うと、
1×30=30と、5.5×48=264の差を求めます。
264-30=234となるので、答えは234度になります。
これは間違いです。問題文をよく見ると「小さいほうの角度」と書いています。
234度は確かに2つの針が成す角度ですが大きいほうの角度です。
つまり、求めた差が180度より大きいときは、360度から差を引かなければ
いけない、というパターンができます。
正解は、360-234=126度です。
公式はどのような場合でも使用することができるものです。起こり得る条件を
しっかり考えて、完璧なものを作り上げましょう。
次回も時計算を説明します。よろしくお願いします。