みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。
今回も調べるのが大変な単元「場合の数」で、作業を楽にして解きやすくする3つのコツについてのお話しです。場合の数の問題では、樹形図や表を用いて調べることを要求する問題も入試で多く出題されます。せっかく解き方が分かっていても、作業の段階でミスをしてはもったいないです。3つのコツを用いて、作業でミスを減らし確実に正解を求められるようになりましょう。
2 樹形図は全部描かない です。
まずは次の問題をご覧ください。
問題 1から5までの数字がそれぞれひとつだけ書かれた封筒とカードがあります。
これらのカードを封筒の中に一枚ずつ入れるとき、封筒の数字とカードの数
字が一組だけ同じになるような入れ方は何通りありますか。
まずは「1の封筒に1のカードを入れる場合」を考えて樹形図を描きます。
2の封筒には同じ数字のカードを入れられませんので、3か4か5のカードが入り
ます。そこで、3のカードを入れた場合を考えます。以下、3、4、5の封筒にも、
封筒の数字と異なる数字のカードが入るように注意しながら樹形図を描きます。
(図1)
次は、2の封筒に4のカードを入れた場合ですが、この樹形図は描く必要がありま
せん。なぜなら、1の封筒に1のカードを入れた時点で、残った数字は全て封筒と
カードに同じ番号が残っているという点で「同じ条件」だからです。
2の封筒に3のカード → 数字2はカードのみ、数字3は封筒のみ
数字4と5はカードと封筒の両方
2の封筒に4のカード → 数字2はカードのみ、数字4は封筒のみ
数字3と5はカードと封筒の両方
このように、数字は異なっていても条件は等しいわけです。
そのため、2の封筒に4のカードを入れたときの入れ方は、3のカードを入れたときと
同じ3通りになります。5のカードを入れたときも3通りです。
したがって、1の封筒に1のカードを入れたときの入れ方は3×3=9通りです。
残ったカードが全て同じ条件のときは、1つの場合だけ樹形図を描いて調べ、残り
はかけ算を用いて求めます。そうすると時間も短縮され、ミスも減ります。
さらにもう一工夫をすると時間短縮することができます。
今度は1の封筒に2のカードを入れる場合を考えます。先ほどの説明から、3の
カードを入れても、残った数字の条件は等しくなっています。
(カードのみの数字1つ、封筒のみの数字1つ、両方にある数字2つ)
したがって、2のカードを入れた場合の樹形図だけを描いて考えます。
3の封筒まで入れた状態が(図3)です。
なお、2の封筒に4のカードを入れた場合も5のカードを入れた場合も、3のカード
を入れたときと同じ条件になりますので省略しています。また、2の封筒に3、3の
封筒に2を入れると、残ったカードが4と5になり、「1つの封筒だけ同じ数字が入
る」という条件を満たさないので描いていません。
この後は、4の封筒、5の封筒に入れるカードを樹形図に書いていくのですが、
その入れ方が何通りかさえ分かれば、実際に何の数字が入るかを書かなくても
組み合わせを求めることができます。要は樹形図の「枝」の本数を数えることが
出来れば、どんな「葉」がついているかは関係ないということです。(図4)。
これで、1の封筒に2のカードを入れたときの入れ方は、3+2×3=9通りと求め
ることができます。3~5のカードを入れたときも同じ9通りのため、9×4=36通り
1のカードを入れたときが9通りでしたので、全部で9+36=45通りとなり、これが
答えになります。
この問題は他にも解き方がありますが、今回は樹形図の描き方のコツを伝えるこ
とがテーマのため、丁寧に調べていく方法で解きました。同じものや必要ないもの
をうまく省略することで、作業時間を短縮できるということです。
ということで2番目のコツは、
1 条件が同じ場合は樹形図を省略して時間短縮することができる
2 残った並べ方が1通りしかない場合は、枝だけ描けば早く数える
ことができる という時間短縮のコツでした。
次回は、「表を用いて場合の数の規則を調べるコツ」の話です。お楽しみに。