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投稿日:2024年06月27日

テーマ: 算数

受験算数のコツ!最難関校に受かるための算数の力と十種競技

みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。

中学入試の算数の試験で平均点以上の点数を取り、合格を確実なものとして
いくためにはどうすれば良いのでしょうか。今回はこの問題に対する一つの回答を、
陸上の十種競技を例に考えていきたいと思います。

 

(1)十種競技と受験算数の共通点

陸上の十種競技について簡単に説明します。
男子の十種競技では、100m、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400m、
110mハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500mの十種目を二日間
で行い、その記録を得点に換算し合計得点で競います。
「走る」「跳ぶ」「投げる」といった陸上競技の全ての要素を兼ね備えた選手たち
が競い合うため、十種競技の勝者は「キング・オブ・アスリート」と称されます。

中学入試における算数という科目は、この十種競技とよく似ている点があります。
たとえば、算数の単元を10個に分類し、陸上のものにあてはめていきます。

走る競技=「読解力」が大切な「計算・文章題」といえます。
100mはスピードを競う「計算問題」。
400mは見直しまで含めてじっくり解き進める「和と差の文章題」。
110mハードルは比という技術を要する「割合と比の文章題」。
1500mは長文を読み進めて考える「速さの文章題」。

跳ぶ競技=「表現力」「空間認識力」が大切な「図形問題」といえます。
走り幅跳びは図形問題の基礎とも言える「角度・面積・体積の問題」。
走り高跳びは様々な跳び方や技術を要する「相似・面積比の問題」。
棒高跳びはより高度な技術を要する「立体図形の問題」。

投げる競技=「作業力」「思考力」が大切な「調べる問題」といえます。
砲丸投げは計算や作業といった力を必要とする「数の性質の問題」。
やり投げは処理スピードも重視される「規則性の問題」。
円盤投げは作業の技術が難しく失敗しやすい「場合の数の問題」です。

多少強引かもしれませんが、こうしてみると単元ごとに様々な特徴があると
気づけるでしょう。そして、どの単元でもしっかり得点できる力を備えた受験生は
まさに「キング・オブ・アリスマティック(算数の王様)」と言えるでしょう。

しかし、十種競技の各種目における世界記録は、それぞれの種目だけの世界
記録には及びません。たとえば100mの世界記録は、ウサイン・ボルト選手の
9秒58ですが、十種競技ではダミアン・ワーナー選手の10秒12です。技術を要
する円盤投げは、世界記録がミコラス・アレクナ選手の74m35に対し、十種競技は
ブライアン・クレイ選手の55m87になります。ただし、単発の競技では世界最高の記
録に届かなくても、十種全てで高いレベルの記録が出せればチャンピオンになれるわけです。
算数でもすごい得意な単元があったとしても、入試問題はその単元だけではありません。全ての単元において高いレベルで得点を取れるようになればチャンピオン=合格、となるわけです。

現在の男子十種競技の世界記録保持者は、フランスのケビン・マイヤー選手です。彼は短距離・中距離走では大きく得点を伸ばせませんでしたが、得意の投てき種目
で好記録を達成し、総合得点で世界記録を樹立しています。
つまり、受験算数でも得意な単元はどんな問題でも正解できるくらい力をつけていき、苦手な単元は大きく失点しないように、ある程度の難度の問題までは解けるよう
にしておくことが大切とも言えます。

 

(2)十種競技のトレーニングと算数の学習方法

そもそも「走る」「跳ぶ」「投げる」では使う筋肉も異なり、万遍なくトレーニングしていかなければいけません。現在十種競技の日本記録保持者である右代啓祐選手も
インタビューで、以前は得意な種目しか練習しなかったが成績が伸び悩んだ。そこで、苦手なものと向き合うことの重要性を感じた。走ることが苦手だったけど、走るのが速い選手からアドバイスをもらい、少しずつ苦手を得意に変えていった、と話されています。いきなり難しいことに挑戦するのではなく、簡単なことからクリアして自信をつける。
それが出来たらもう少し難しいことに挑戦していく。この作業の繰り返しこそ、苦手
を得意に変えていく秘訣です。
たとえば、算数で「立体の切断が苦手」というお子さまがいるとします。
まずは「切断のルールを確認し、立方体の切断図を描いていく」
次に「切断面と立体との交点を求め、長さや体積が求められるようにする」
そして「立方体以外の立体の切断や2回切断のトレーニングに入る」という流れで
得意にしていくと良いでしょう。

開成や灘を目指すからといって、難問ばかり解いていてもダメです。得意な単元で
あればそれでいいのですが、苦手な単元は基本からしっかり確認していくことこそ必要
です。苦手単元の学習は最低でも週一回のペースで時間を割いて取り組んでいきましょう。

 

いかがでしたか。あまり日本ではなじみにない陸上十種競技。万遍なくトレーニング
していくことの難しさと、そこにチャレンジしていく姿勢は、中学受験の学習においても
間違いなく役に立つことと思います。
今年2024年はパリでオリンピックが開催されます。十種競技も行われますので、
ぜひ注目してください。

本日はここまで。次回もよろしくお願いします。

算数ドクター