皆さんこんにちは。
受験ドクター講師の勝山利信です。
さて、今回は算数の問題対応力を身に着けるために必要なことについてお話したいと思います。
算数という教科について考えたとき、理科や社会の知識事項や国語の用語や漢字のように暗記しなければならないことが少ないように思えますが、実は算数でも暗記は非常に重要です。
九九を代表するように、計算の大部分は暗記したことを連ねて行いますし、中学受験に向けて学習している皆さんの中には3.14の1桁台の整数倍は覚えている人も少なくはないでしょう。
また、各種特殊算の典型題の解き方は頭に入っていて、数値だけ言われれば即座に計算結果を出せる人も多いと思います。
同じことをくり返す場合は、様々なことを暗記しておいて、
途中の考え方を飛ばし短時間で結論にたどり着くことは、特にテストのように時間制限があるときに非常に有効な手段です。
しかし、解き方を覚えてできるようになった!と思ったら、少し条件を変えた問題に対応できず、テストで高得点が中々取れないという経験があると思います。
では、どうすればテストで高得点を目指すことができるのか?
時計算を例にお話しします。
時計算の典型題です。
数値の処理だけで、もう答えを出せている人もいるでしょう。
図を見ながら、確認してみます。
長針の回った角度の方が短針の回った角度より210度大きいので、
210÷(6-0.5)=(分)
と、計算することができます。
急に6と0.5という数が現れましたが、これは長針と短針が1分あたりに回る角度です。
2つの針が同じ方向に回るので、回る角度に1分あたり5.5度ずつ差が生まれます。
時計算の計算では、この「÷5.5」が頻繁に出てくるため、結果的に「」という計算をするということを解いているうちに覚えてしまいます。時刻や角度の数値が変化しただけの問題ならば同じ解き方になるため、まさに同じことの繰り返しは暗記で処理してしまった方が早い問題の例といえます。
では、こちらの問題はどうでしょうか?
いつも通り角度を5.5で割ろうかなぁ・・・と思ったら、2等分されている角がそもそも何度なのかわかりません。暗記での素早い処理も重要ですが、このような応用問題へ対応するにはそれだけでは足りません。このような時ほど、基本に立ち返って考えることが求められます。
では、それぞれの針の回った角度を確認するところから始めてみましょう。
それぞれ回った角度を書き込んでみました。
すると、等しさを利用しようという基本姿勢ができていれば、短針の回った角度と同じ大きさの角が左側にもあることに気がつきます。
このことから、長針の回った角度と短針の回った角度の合計が270度になることが分かりますね!
よって、
270÷(6+0.5)=(分)
と、計算することができます。
特徴に気がついてしまえば、割とあっさりした計算で終わってしまいましたが、気付くための下準備がしっかりできるかによって、問題への対応力が大きく変わります。
このような応用問題を解き切るために必要な発想や気付きは突拍子のないものではなく、むしろ単元ごとの根本原理に基づいていることがよくあります。なぜそのような解き方、書き表し方をするのか、解法の暗記ができたら、もう一度根本的な考え方に立ち返ることで発展的な問題に対応する力が身につくのです。
目指せ、対応力UP!
それでは、またお会いしましょう!