皆さんこんにちは。
受験ドクター講師の勝山利信です。
今回は、問題対応力upのために生物分野の計算問題についてお話しします。
理科の生物の学習は種類やつくりに関する名称や生物の特徴をインプットすることが中心で、テストにおいても正確で素早いアウトプットができるか試されることがほとんどです。理解するためにそもそも数値を使う物理や化学と比べると、テキストや問題集で扱われる問題数も比較的少ないため、いざ出題されると、敬遠してしまいがちで、実際に正答率が低いこともよくあります。しかし、話題が特別なため計算の流れをイメージしづらい部分はあるものの、得点源にできれば他の受験生に差が付けることができる伸び代であるともいえます。そのような生物の計算問題の中でも代表的な、呼吸のはたらきに関係のある問題について見ていきましょう!
【どのような計算力が必要になるのか?】
理科の本題に入る前に、次の算数の問題について考えてみてください。
確認問題
30名の生徒が算数のテストを2回受けました。1回目のテストでは40%の生徒が100点を取りました。2回目のテストでは90%の生徒が100点を取りました。2回目のテストで100点を取った生徒は1回目のテストで100点を取った生徒より、何人多いですか。
1回目のテストの結果を見て、努力した生徒が増えたようですね。
さて、実際に計算してみますが、解答を出すための計算の流れをイメージできた人は多いのではないでしょうか。
1回目 30×0.4=12人
2回目 30×0.9=27人
増えた人数 27-12=15人
それぞれ100点を取った人数を計算し、差を考えれば何人多いかわかります。
また、理解ができているのであれば、計算の工夫をして、
30×(0.9−0.4)=15人
というように、割合の差を全体人数にかけてしまえば、スムーズに計算結果を出すことができます!
今出題した算数の問題が解けるのであれば、同じ計算力で次の理科の問題も十分に考えることができます。
【理科の問題になるとどうなるの?】
求められる計算力は先ほどの算数の問題と同等ですが、話題が理科の内容になると、難しく見えてしまいます。理科の専門用語は日常ではあまり使わないものもあるので、算数の問題以上によく読んで、どのような条件から何を求めるのか正確に理解しましょう。
さて、それでは問題です。
問題
ある人の呼吸について調べたところ、はく息300mLには酸素が48mL含まれていました。また、1分間の吸う息とはく息はそれぞれ8Lずつです。空気中の酸素の体積の割合を21%として、この人が1時間で血液に取り込む酸素の体積は何mLになるか答えなさい。(2019 豊島岡女子学園中 改題)
単位の換算や時間の計算もありますが、本質は先ほどの算数の問題とほとんど変わりません。
吸う息とはく息に分けて酸素の量を計算してみましょう。
吸う息は空気を吸うわけですから、体積の21%が酸素ということになります。
よって、8Lは答えの単位に合わせて8000mLとしてから、
吸う息に含まれる酸素の量 8000×0.21=1680mL
はく息については48÷300×100=16より16%の酸素を含んでいますから、
はく息に含まれる酸素の量 8000×0.16=1280mL
すると、血液が取り込んだ酸素の量は、1680−1280=400より400mLであることが分かりました!
これは1分間あたりの量ですので、1時間(60分)では、400×60=24000より24000mLの酸素が血液に取り込まれていることが分かりました。
こちらも、8000×(0.21−0.16)×60=24000と、割合のひき算を用いて計算をまとめるとよりシンプルになります。
実際にテストで出題されたときに見落としてしまいやすいのが、条件を1分あたりの量で与え、解答は1時間あたりの量を問う、という部分です。算数の問題として注意しなければならないことは、理科の問題でも同じように注意しましょう。そのような注意ができれば、生物の計算問題も得点源にできるようなります。今回利用した割合や1にあたる量を利用して解く問題が多いので、算数の学習としてもその分野に力を入れると良いでしょう。
目指せ問題対応力UP!
それでは、またお会いしましょう!