皆さんこんにちは。
受験ドクター講師の勝山利信です。
前回に引き続き、算数の「場合の数」をテーマにお話しします。
前回は、順列と組み合わせの基本計算とその見極めについてお話ししました。基本的には、順番が関係あれば順列、関係なければ組み合わせというように上手に使い分けをしましょう。今回はそこに、もう一つの要素である、「場合分け」の重要性について考えていきましょう。
【場合を分けるとはどういうことか】
では、場合を分けるとはどういうことか具体的に問題を解きながら見ていきましょう。
次のように1から4までの数が書かれたカードが1枚ずつあります。そのうち、3枚を並べて3ケタの整数をつくると何通りできますか。
カードを並べかえて整数をつくるという、場合の数の問題の中でも頻出の問題です。まずは、このようなタイプの問題の基本を押さえましょう。今回は3ケタの整数をつくるので、どの数が百の位、十の位、一の位にそれぞれ並ぶかによって、出来上がる整数は異なります。順番が関係あるタイプの問題ですので、順列の考え方をベースにしましょう。まず百の位の選択肢が4つあり、十の位の数を並べるときは残りの3つから、一の位の数を並べるときは残りの2つからそれぞれ選ぶことになるので、4×3×2=24通りと計算して求めることができます。類題であればカードの種類が増えたとしても、同じように計算することができます。
では、次の問題はどうでしょうか?
次のように1、1、2、3、4の数が書かれたカードがあります。そのうち、3枚を並べて3ケタの整数をつくると何通りできますか。
カードが5枚に増えましたが3ケタの整数をつくるので、一見5×4×3=60通りと確認問題1と同じように計算して良さそうですが、そのように答えると実は間違えとなってしまいます。
単純に順列の考え方を使ってしまうと、1枚目の1のカードと2枚目の1のカードを使ったときにつくられる整数を別のものとして数えてしまっているので、重複が発生しています。実際の場合の数より多く数えてしまっているという状況です。では、この状況をどのようにクリアしていけばよいでしょうか?
ここで今回のテーマである「場合分け」が重要になってきます!
1のカードが2枚あることがこの問題のポイントですので、今回は1のカードの枚数に注目して場合を分けて考えていきます。
・1のカードを2枚使う場合
カードの組み合わせは、(1,1,2)、(1,1,3)、(1,1,4)の3つがあり、例えば(1,1,2,)のカードを並べ替えると、112、121、211の3つ整数をつくることができます。(1,1,3)、(1,1,4)についても同じように3つの整数をつくることができるので、この場合は3×3=9より9通りの整数をつくることができます。
・1のカードを1枚使う場合
カードの組み合わせは、(1,2,3)、(1,2,4)、(1,3,4)の3つがあり、例えば(1,2,3)のカードを並べ替えると、123、132、213、231、312、321の6つの整数をつくることができます。書き出さずに、3枚の並べ替えなので、確認問題1のように、3×2×1=6より6つと考えることもできます。(1,2,4)、(1,3,4)についても同じように6つの整数をつくることができるので、この場合は6×3=18より18通りの整数をつくることができます。
・1のカードを使わない場合
カードの組み合わせは、(2,3,4)の1つだけで、並べ替えると3×2×1=6より6つと考えることもできます。この場合は、そのまま6通りの整数がつくられることになります。
ここまで3つの場合に分けて、それぞれの場合の数を求めました。この3つの場合は、重複が無く、それ以外の場合は考えられないので、全ての場合を数えたことになります。よって、最後は合計を求めることで、9+18+6=33より33通りの整数をつくることができると分かりました。
条件がさらに複雑になると、気付かないうちに重複が発生してしまったり、抜けている場合があったりしてしまい、そこが誤答の原因になる危険性が高くなります。条件から何にポイントを置いて場合分けし整理していくのかよく考えてトレーニングしましょう。
次の機会には、入試問題レベルの類題を用いて実践編ついてお話ししたいと思います。
目指せ問題対応力UP!
それでは、またお会いしましょう!