みなさん、こんにちは。
受験ドクター算数・理科科の川上と申します。
過去2回、代表的な数表の問題の捉え方について触れてきました。
今回は、数表の中でも特殊な問題を紹介いたします。
パスカルの三角形と呼ばれるものです。
この数表はある規則に基づいて作られています。
上の図の矢印のように、左上と右上の数値の和を取り、新しい段を作っています。
パスカルの三角形にはいくつかの有名な性質があります。
まずパスカルの三角形の左から3列目(右から3列目も同様です)には三角数が並んでいます。
また、段ごとの和は、2のべき乗になっています。
他にも、パスカルの三角形にはフィボナッチ数列が隠れています。
また、フラクタル図形の一種である「シェルピンスキーのギャスケット」と呼ばれる図形が隠れています。本日はこのシェルピンスキーのギャスケットに着目する問題に触れていきます。
パスカルの三角形に表れる数字の偶数を0、奇数を1に書き換えてみます。
0を青、1を赤で色付けすると・・・
どうでしょう。規則が見えますでしょうか。このように図形の一部が図形全体と相似な形を含むような図形をフラクタル図形といいます。
それでは、問題です。
(1) 図で斜線をつけた縦8マス、横8マスの正方形の中に、偶数は全部で何個ありますか。
(2) 図で斜線をつけた縦16マス、横16マスの正方形の中に、偶数は全部で何個ありますか。
[2021 灘中 2日目 一部省略]
向きは異なりますが、パスカルの三角形に関する問題であることはお分かりいただけると思います。また、偶・奇に関する問題ですので、シェルピンスキーのギャスケットの性質を活用していきます。
[解説]そもそも、縦4マス、横4マスの正方形の中にはなぜ7個の偶数があるのかを考えてみます。
奇数を色付けしてみます。
ここで、縦2マス、横2マスの正方形に注目します。
縦4マス、横4マスの正方形には、これと全く同じように色付けされたものが3つあることがわかります。
よって、偶数の個数は4×4-3×3=7個
となるわけです。
それでは、縦8マス、横8マスではどうでしょうか。
この縦2マス、横2マスの形が、3×3個あります。
よって、8×8-3×3×3=37個が答えとなります。
さて、そうなると、(2)も簡単ですね。
16×16-3×3×3×3=175個となります。
特殊な問題ですが、構造に気付いてしまえばスラスラ解ける問題でした。
ご参考になれば幸いです。
それでは、今回はこれで失礼します。
受験ドクター 川上亮