みなさん、こんにちは。
受験Dr.算数・理科科の川上と申します。
今回はタイトルの通り、2024年度入試の開成中の問題を紹介できればと思います。
今年度の開成中、算数においてはとにかく大問1の(1)が話題となりました。
確かにインパクトが強かったですよね。受験生たちも四苦八苦したのではないでしょうか。
私が今回紹介したいのは、大問1の(2)です。
【問題】
2本の金属棒O、Pがあります。長さはPの方がOより2㎝長く、重さは2本とも同じです。長さ1㎝あたりの重さは、Oはどこでも1㎝あたり10gです。Pは、中間のある長さの部分だけ1㎝あたり11gで、それ以外の部分は1㎝あたり8gです。
2本の金属棒を図の左端から同じ長さだけ切り取るとすると、切り取る部分の重さが等しくなるのは、切り取る長さが34.5㎝のときだけです。
(ア)図の★の部分の長さを求めなさい。
(イ)金属棒1本の重さを求めなさい。
この問題を紹介したい!と思ったのには理由があります。
近年の最難関校のトレンドとして、思考力を試す問題の増加が挙げられます。
条件を整理し、試し、本質に近づき、解答にたどり着く問題として、とても良い問題だと感じました。
【解説】
(ア)金属棒Oは1㎝あたり10gだとわかっているため、34.5㎝の重さは345gです。
よって、金属棒Pの★の部分と、1㎝あたり11gの中間部分の一部の重さの和が345gとなるはず。
つるかめ算より、★=11.5㎝とわかります。
※何かおかしくない?と思った方、いらっしゃると思います・・・(とても鋭いです)
が、とりあえず先に進みます。
問題は(イ)です。
私はこの問題を初めて解く際に、金属棒OとPの重さの変化をグラフにしました。
以下のようなグラフです。
ただ、ここで違和感に気付きました。
重さが等しくなるところが2か所出てきてしまいます。
「2本の金属棒を図の左端から同じ長さだけ切り取るとすると、切り取る部分の重さが等しくなるのは、切り取る長さが34.5㎝のときだけ」
という条件に反します。
ここで強く違和感を感じ、どこに原因があるのかを考えました・・・
↓↓↓
この図だ!
斜線部分の途中で金属棒Pを切断していたけれども、この下の図のように切ったから重さが等しくなるところが1か所なんだ!
(ア)で違和感があった方、お付き合いいただきありがとうございます(笑)
つまりグラフは以下のようになります。
気付いてしまえばあとはカンタン。答えは425gとなります。
※補足
ちなみに、切り方はもう1パターン考えられます。
以下のように、1㎝あたり11gの範囲の右側で切ってみましょう。
「切り取る部分の重さが等しくなるのは、切り取る長さが34.5㎝のときだけ」という条件をもとにグラフを描いてみます。
無理矢理34.5㎝のところで重さを等しくしようとすると・・・
というわけで、この切り方も条件を満たさないわけです。
試行錯誤をしながら問題の本質に近づいていく感覚、いかがでしたでしょうか。
本当に算数って楽しいし面白い!そう思わせてくれる問題だと思います。
少しでもご参考になる点があれば幸いです。
それでは、今回はこれで失礼します。
受験Dr. 川上亮