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投稿日:2024年07月10日

テーマ: 算数

【中学受験算数】2024年度入試より 隠れた良問②(栄光中)

みなさん、こんにちは。
受験Dr.算数・理科科の川上と申します。

今回はタイトルの通り、2024年度入試の栄光中の問題を紹介できればと思います。

2024年度の栄光中の算数では、大問4の立体図形の「共通部分をとらえる」問題が目新しく感じられました・・・が!今回は大問3の数の性質の問題を取り上げたいと思います。

【問題】
100以上の整数のうち、次のような数を「足し算の数」、「かけ算の数」とよぶことにします。

「足し算の数」:一の位以外の数をすべて足すと、一の位の数になる
「かけ算の数」:一の位以外の数をすべてかけると、一の位の数になる

例えば、2024は2+0+2=4となるので「足し算の数」ですが、2×0×2=0となるので「かけ算の数」ではありません。また、2030は2+0+3=5となるので「足し算の数」ではありませんが、2×0×3=0となるので「かけ算の数」です。

(1)(2)省略
(3)「足し算の数」でも「かけ算の数」でもある数について考えます。

(ア)一の位の数として考えられるものをすべて答えなさい。
(イ)「足し算の数」でも「かけ算の数」でもある数はいくつあるか答えなさい。

【一部省略,表現変更】

この問題、2014年度の渋谷幕張中(2次)において、論点の非常に似た出題がありました。ただし、渋谷幕張中では3ケタと4ケタのみという条件つきでした。この栄光中の問題においては3ケタ以上ではあるもののケタの上限がないため、難易度はやや高くなっています。

ちなみに省略しますが、大問3(1)(2)はタフな場合分けを要する問題でした。難関校の場合の数において、適切な場合分けというのは近年の算数のトレンドの1つとなっています。

今回は「仕組みに気付くことで作業量を減らす」「コツをつかんだ時の面白さ」をテーマに(3)を紹介します。

【解説】

(ア) 一の位として考えられる数を絞り込んでいきます。
(ⅰ)一の位が「0」
「たし算の数」を考えたときに、一の位が「0」になることはありえません。よって条件を満たすものはありません。
(3ケタであれば百の位、4ケタであれば千の位に0以外の数字を使うことになります。)

(ⅱ)一の位が「1」

「たし算の数」で考えると101や1001などが考えられます。しかし今回は3ケタ以上の数という条件のため、「0」がどこかの位に必ず入ってしまいます。よってこれもダメ。

(ⅲ)一の位が「2」

「かけ算の数」で考えます。一の位が「2」のとき、122や1122などが考えられますが、どちらも「たし算の数」の条件を満たすことが出来ません。

※122は 1+2=3よりダメ、1122は 1+1+2=4よりダメ

ここで、素数は一の位に出来ないことに気付くと作業量を大きく減らすことが出来ます。

一の位が素数だと、一の位の数を積で表す方法は1を何回かと、その素数をかける方法しかありません。

例えば「7」であれば1×7、1×1×7、のようになります。
しかしこれだと、和は1の分だけ「7」を超えてしまいます。

よって、「2」以外に「3」「5」「7」もダメ。

「4」「6」「8」「9」の4つが候補となります。

(イ) とはいえ、条件を満たす具体的な数字を作れなければなりません。

(ⅰ)一の位が「4」

「かけ算の数」として考えると、1×4=4や2×2=4より、144や224が考えられます。

144はたし算の数ではないため条件を満たしませんが、224は2+2=4より、条件を満たします。224の1通りです。

(ⅱ) 一の位が「6」

1×6=6、2×3=6より、166や236が候補となります。両方とも条件は満たしませんが、236は和が2+3=5、積が2×3=6となっています。
1を使っても積は変わらないことから、「1236」とすることで条件を満たす数を作ることが出来ます。

千の位、百の位、十の位は入れ替え可能です。よって6通りです。

(ⅲ)一の位が「8」

2×4=8より、248・・・ではなく、「11248」とすればたし算の数の条件も満たします。
コツがわかってきましたか?

また、2×2×2=8より、2228・・・ではなく?

そう。「112228」ですね。

コツがわかってきましたか?

1の位以外の入れ替えも考慮し、22通りです。

(ⅳ)一の位が「9」

サクサクいきましょう!

3×3=9より、「111339」が考えられます。

入れ替えを考慮し、10通りです。

よって1+6+22+10=39通りとなります。

いかがでしたでしょうか。

(ア)では途中で「素数はダメ」のように、作業量を減らすことができるかどうか。
そして(イ)においては、途中からコツがわかると楽しく絞り込むことが出来ると思います。

 

少しでもご参考になる点があれば幸いです。

それでは、今回はこれで失礼します。

受験Dr. 川上亮

算数ドクター