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投稿日:2022年11月17日

テーマ: 算数

位の数を入れ替えると・・・

みなさん、こんにちは。

受験Dr.算数・理科科の川上と申します。

 

本日も前回に引き続き、数の性質について紹介できればと思います。

 

問題

ある2桁の数があります。この数の十の位と一の位の数を入れ替えたところ、もとの数より36大きくなりました。このような数は何通りありますか。

 

解説

試行錯誤をして、題意を満たすための条件を見つけ出すことも可能ですが、式を使って考えてみます。

 

もとの数の十の位をア、一の位をイと置きます。もとの数は

 

10×ア+1×イ

 

と表すことができます。

十の位と一の位を入れ替えると

 

10×イ+1×ア

 

となります。

 

十の位と一の位を入れ替えると36大きくなることから

 

(10×イ+1×ア)-(10×ア+1×イ)=36

9×イ-9×ア=36

9×(イ-ア)=36

イ-ア=4

 

となればよいわけです。

アが1以上であることに注意して

 

(ア,イ)=(1,5)(2,6)(3,7)(4,8)(5,9)の5通りが答えとなります。

 

問題自体の難易度はそこまで高くありませんが、今回紹介したい性質のひとつが途中経過にありました。

 

(10×イ+1×ア)-(10×ア+1×イ)=36

9×イ-9×ア=36

9×(イ-ア)=36

イ-ア=4

 

2けたの数の十の位と一の位の数を入れ替えると、差は9の倍数になります。

(もとの数より入れ替えた数が小さい場合も、同様の操作で示すことができます)

 

3ケタ以上でも似たような性質があることがわかります。

 

例として、319の百の位と十の位を入れ替え、差を考えてみましょう。

 

319 → 139

319-139=180

 

よって、差は9の倍数になります。

 

十の位と一の位だけでなく、となり合う位の数を入れ替えると、差は9の倍数となります。

 

また、百の位と一の位を入れ替えるとどうなるでしょうか。

 

319 → 913

913-319=594

 

となり、差は9の倍数になります・・・が、実は百の位と一の位を入れ替えると、差は99の倍数になっています。

 

同様に、千の位と一の位を入れ替えると、差は999の倍数となります。

万の位と一の位を入れ替えると、差は9999の倍数となります。

桁を大きくしていっても以下同様です。

 

さて、この性質を利用した問題を紹介いたします。

 

問題

9桁の整数123456789をAとします。また、Aの各桁の数から2個を選び、それらを入れ替えてできる9桁の数を考えます。このような9桁の整数は全部で36個あり、これらを小さいものから順に①、②、…、㊱とします。例えば

  1. =123456798、②=123456879、⑨=123486759、㊱=923456781です。

 

  1. 省略

  2. 36個の整数①-A、②-A、…、㊱-Aのうち、37で割り切れるものは何個ありますか。

【灘 2016 2日目 抜粋】

 

解説

27×37=999という分解を知っていれば、より簡単に考えることが出来ます。

差が37の倍数になるためには千の位と一の位を入れ替えればよいわけです。

また、千の位と一の位でなくても、3個置きに交換すれば差が999の倍数になります。

 

例を挙げてみます。

 

123456789 → 123459786

123459786-123456789=2997

2997=3×999

 

123456789 → 123486759

123486759-123456789=29970

29970=3×999×10

 

よって、差が37で割り切れる数になるのは

(1,4)(2,5)(3,6)(4,7)(5,8)(6,9)を交換したときになります。

 

また、999999=1001×999より、6個置きに交換したときも差が999の倍数になります。

よって

(1,7)(2,8)(3,9)

を交換しても差は37の倍数となります。

よって、9通りが答えとなります。

 

普段あまり扱うことのないテーマかもしれませんが、知っておいて損はありません。

ご参考になれば幸いです。

 

それでは、今回はこれで失礼いたします。

受験Dr. 川上亮

算数ドクター