みなさん、こんにちは。
受験Dr.算数・理科科の川上と申します。
今回は前回に引き続き回転体について触れていきます。
難易度高めの題材にしましたので頑張ってついてきてください!
それではいきましょう。
(問題1)図の斜線部分を直線ℓの周りに1回転させてできる立体の体積を求めなさい。【2015 洛星】
見るからに複雑そうな形をしていますね。
まず、左右非対称な形の回転体の問題では、片方を折り返して考えます。
さて、この図形を回転させるわけですが、見取り図を・・・書く気になれません(涙)
解法はさておき、この図のまま処理する子が多いのではないでしょうか。
パップス・ギュルダンを使用する方法もありますが、前回の体積比を使って攻略していきましょう。
全体をいきなり考えるのは大変なので、一部を抜き出して考えます。
まずは下の図の赤い三角形からいきましょう!
この三角形はピラミッド型の相似になっており、相似比は1:2です。
相似比が1:2ということは、体積比は1×1×1:2×2×2=1:8でしたね。
同じ円すいのことも考慮すると下の図のような体積比になります。
まだまだ先は長いですが、元気よく行きましょう!
次は下の長方形を抜き出して考えます。
底面積と高さが同じ円すいと円柱の体積比は1:3でしたね。
円すい部分が①+①+⑥=⑧ですので、円柱の体積は㉔となります。
同じ体積の部分を考慮し、以下のようになります。
少しずつ埋まってきましたね!パズルのように、数値を埋めていくこの感覚、癖になってきませんか?(笑)
さて、また少し範囲を広げて抜き出します。以下の部分です。
円柱部分(下の図の赤線で囲った部分)はまとめて①+①+⑥+⑥+⑩=㉔となります。また、下の図の三角形の相似を利用します。
くり返しになりますが、底面積と高さが同じ円すいと円柱の体積比は1:3です。
円柱の下の円すいは㉔÷3=⑧となります。
さて、残りは円柱の右の部分ですね。
下の図のピラミッド型の相似を利用します。
相似比は1:2ですので、体積比は1×1×1:2×2×2=1:8です。
小さい円すいの体積が⑧ですので、大きい円すいの体積はその8倍です。円柱部分を考慮すると以下のようになります。
終わりが見えてきました!
今まで求めた体積比をまとめると以下のようになります。
図形の対称性を利用すると
上の図のようになります。求める体積は①のちょうど100倍になりますので
3×3×3.14×6××100
=1800×3.14
=5652㎤
となります。
ひとつひとつ順を追って説明すると長く感じますが、慣れると驚くほど短時間で解けるようになります。
ミス無く、正確に数値を求めるトレーニングを積めば、体積比を使用する解法は非常に強力な武器となります。解法の難度が高く、習得するまでが大変ですが、最難関校を目指すのであれば、ぜひとも練習してみてください。
今回の内容がひとつでもお役に立てば幸いです。
それではこれで失礼します。
受験Dr. 川上亮