みなさん、こんにちは。
受験Dr.算数・理科科の川上と申します。
今回はタイトルの通り、立体の共通部分を考える問題に触れていきたいと思います。難関校を中心に出題が増えており、個人的に注目している題材です。
問題
底辺が2㎝で高さが2㎝の二等辺三角形を底面とする、高さ2㎝の三角柱を考えます。この三角柱を以下の図のように1辺の長さが2㎝の立方体ABCD-EFGHの中に置きます。
(1)図1のように、三角柱の向きを変えて2通りの置き方をしました。これらの共通部分の立体Xの体積を答えなさい。(栄光学園中2024 一部抜粋・表現変更)
解説
立体の共通部分を考える問題は、あらゆる立体図形の知識・解法を組み合わせて対応します。この問題は「複数回切断」の解法と共通点があります。
というのも、図1の2つの立体は立方体から三角柱を2つ切断し、取り除いた立体だからです。(下の図の赤線で表された三角柱を取り除きます)
さて、複数回切断では「交線の作図」がポイントでした。切断面の交線を結んでみましょう。
下の図のような四角すいが見えますでしょうか。
体積は㎤ となります。
2問目に行きましょう。
(2)図2のように三角柱の向きを変えて2通りの置き方をしました。これらの共通部分の立体Yの体積を答えなさい。
これも「交線の作図」がポイントですね。
以下の三角すいが作図できればカンペキです。
高さの平均を使用しましょう。
図の青の三角形を底面と見ます。
底面に対する高さはそれぞれ2㎝、0㎝、0㎝です。(下の図の緑色をつけたところが高さになります)
㎤ となります。
余談ですが、立体の切断&求積において、高さの平均を使いこなせる子が毎年少ないように思います。今回のように、角出しで対応出来ない場合も想定して、解法を複数備えておくとよいですね。
さて、最後です。
(3) 図3のように三角柱の向きを変えて2通りの置き方をしました。これらの共通部分の立体Zの体積を答えなさい。
さて、これも「交線の作図」です・・・が、かなり見づらいかもしれません。
以下のような四角すいが描けましたか?
あとは体積ですね。これも角出しは難しそうです。高さの平均で対応しましょう。
下の図の青色を付けた部分の三角形を底面と見ます。
高さは2㎝、1㎝、0㎝ですね。(下の図の緑色の部分です)
㎤ となります。
いかがでしたでしょうか。
立体の共通部分を考える問題は難問が多く、以前の私は捨て問扱いにすることが多かったです。しかし、出題が増えてきたため、そうも言っていられないなぁ・・・と考えるようになりました。
まずは土台となる「立体切断のルール」「複数回切断」「高さの平均による求積」などをおさえ、過去問等で取り組み、対策を行っておきましょう。
ご参考になる点があれば幸いです。
それでは、今回はここで失礼します。
受験Dr. 川上亮