こんにちは、中学受験ドクターで算数を担当していますY. K.です。
前回は計算問題をテーマにお話させて頂きました。今回は、模擬試験や多くの学校の入試問題において計算問題の後にある「小問集合」を扱っていきます。小問集合は一行問題とも呼ばれ、短い文章題、図形問題がいくつも集まって作られている大問のことです。
【試験上のポイント】
はじめに試験上のポイントについて簡単に。小問集合では、多くの場合各々の問題について最適の解法は決まっていて(○○算など)、1題1題に時間をかけすぎないことが大切です。つまり、問題を見て解法が浮かばなかった場合や浮かんだ解法が正確に思い出せない場合は、一旦とばして後回しにすることで試験時間を有効に使うことができます。
【小問集合を○にするには?】
では小問集合をたくさん○にするにはどうすればよいのでしょうか。上にも書きましたように小問集合では解法が決まっているので、解法をたくさん正確に覚えていることが得点の一番の方法のように思われます。しかし、それだけでは得点を伸ばすことはできません。実は各々の問題について失点の起こりやすい箇所は決まっていて、それらを解法と一緒に把握しておくことが失点を防ぎ、得点を伸ばす一番のポイントなのです。では具体的に問題を見てみましょう。
【具体的な例】
太郎君は家から2400mはなれた駅まで行きます。家から途中の駐輪場までは自転車で毎分240mの速さで行き、駐輪場から駅までは毎分60mの速さで歩いたところ、全部で13分かかりました。歩いた時間は何分ですか。
(2014 成蹊中 第1回2(2))
多くの受験生なら問題を読めばすぐに「速さのつるかめ算」の問題だと分かるはずです。では「速さのつるかめ算」で気をつけておきたいポイントはどこでしょうか。まず1つは、求めたい値がどちらであるのかの確認が必須です。この問題では「自転車」ではなく、「歩き」の時間が問われています。もう1つは、計算の結果出てくる数値の単位です。求めた値が「時間」であるのか「距離」であるのかも気をつけたいところです。
この2点に明確な注意を払うことができてはじめて、この問題を100%に近い確率で正解することができます。しかし、人の注意力は有限です。問題文を読み始めてから答えを解答欄に書くまでの間ずっと集中し続けていることは不可能です。だからこそ、注意すべきポイントを明確にしておく必要があります。解法を正確に覚える努力をするのはもちろんのこと、普段からミスの出やすい箇所を意識しながら学習を進めてください。
【大人と子どもの違い】
その他にミスが起こりやすいものとして、ここでは図形について触れたいと思います。なんでも構いません、平面図形に斜線が引かれている問題を思い浮かべてください。その問題で問われているものはなんだと思いますか。多くの方は「面積」を思い浮かべたはずです。お子様も同様に平面図形の斜線部を見た瞬間に「面積」が問われていると感じます。ここからが大人と子どもの違いです。
大人は「面積」が問われていると思っても問題文に目を通しますが、子どもは全く読みません。「面積」であると信じたまま答えへと突き進みます。これを防ぐためには、図形の斜線部を見た瞬間にいくつかの可能性が思い浮かぶ必要があります。平面図形の斜線部で問われる代表的なものは「面積」、そして「まわりの長さ」です。斜線部を見たときに「『まわりの長さ』かもしれない!」と思うことでブレーキがかかり、ここで初めて問題で確認しようという気持ちが起こるのです。
立体図形でも同様のことが言えます。まずは、「体」積なのか「面」積なのか、そして面積の場合は、「表」面積・「側」面積・「底」面積の可能性があります。立体図形では平面図形より問われるものが多様ですので、特に初学者は各々の言葉の意味を押さえておくことが大切です。
【小問集合を○にする!まとめ】
最後に今回の内容をまとめておきます。
①解法と一緒に、注意すべきポイントを覚える。
②各々の問題で問われる可能性があるものを把握しておく。
③言葉の意味を正確に理解する。
どれも普段から意識して学習を進めることで身につくものです。お子様任せではどうしても解法だけを反復して覚える学習になりがちです。ときどきで結構ですので、「どこに気をつけたらいいかわかる?」「この問題って他にはどんなことを聞かれそう?」など、その後にある復習のテストや入試のことを少しでも考えさせるようなお声かけをしてあげてください。それではまた次回お会いしましょう。