こんにちは、中学受験ドクターのY. K.です。
突然ですが、ときどき生徒さんに聞かれることがあります。
「先生は何算が好きなの?」
私の答えはいつも同じです。
「速さと立体切断だよ。」
生徒さんの答えもおおよそ同じです。
「え~やだ~。」
残念ながら速さと立体切断はどちらも嫌われやすい単元です。問題の状況が想像し辛いからです。では、想像できないものは解くことができないのでしょうか。
今回は私の好きな「速さ」について、得意になってもらえるようなお話をしていきます。
~旅人算はなぜ難しい?~
速さ、旅人算の単元が難しいのは当然です。問題文の中で行ったり来たりするA君やB君を実際に動かして考えることができないからです。だからこそ、紙の上で動きを表現する方法をしっかり決めて、毎回丁寧に整理することが重要なのです。
~簡単なうちにこそ線分図を~
速さの条件整理をするのに使われる方法は大きく分けて2つ、線分図かダイヤグラムですが、私のおすすめは線分図です。ダイヤグラムは一部問題では非常に有効ですが、概形を誤ってしまうとその問題は解けなくなってしまいます。そしてこの線分図、簡単な問題のうちに練習しておくことが大切です。いきなり難しいものを描こうとしてもうまくいきません。
~線分図の描き方~
線分図の基本形は以下の形です。
このときに注意していただきたいのは、「全ての数字に単位をつけること」です。速さの単元は単位との闘いでもあります。単位を軽視していては速さマスターにはなれません。
~練習してほしい線分図~
ここで練習していただきたいのは、「描かなくても問題が解ける」線分図のことです。
このレベルからの積み重ねによって、条件が複雑なものへの対応力が身につきます。
また、○や△は「同じ時刻での位置」を表します(同時刻マーク)。距離の和や差に注目するために必要なものです。
~線分図の最終形~
では、入試レベルの線分図とはどのようなものでしょうか。
[5] 下の図のように,山のふもとにA町とB町があります。豊子さんはA町を,花子さんはB町を同時に出発し,山頂とB町の間にあるC地点で初めて出会いました。その後,豊子さんがB町に着くのと花子さんが初めて山頂に着くのは同時でした。2人とも,それぞれの町から山頂へは分速100mの一定の速さで進み,山頂からそれぞれの町へは分速150mの一定の速さで進みます。このとき,次の各問いに答えなさい。
(1) 山頂からC地点までの道のりとC地点からB町までの道のりの比を求めなさい。
(2) 花子さんは,豊子さんがB町に着いた10分後にA町に着きました。
① 山頂からB町までの道のりは,山頂からA町までの道のりよりも何m長いですか。
② 2人は,それぞれの町に着くとすぐに折り返し,2回目も山頂とB町の間にあるD地点で出会いました。このとき,山頂からD地点までの道のりは何mですか。
(平成28年度 豊島岡女子学園中学校 1回)
この場では詳細な解説は控えますが、この問題の線分図は次のようになります。
ここまで描ければ、線分図の腕は一人前ですね。
~旅人算を○にするまとめ~
① 条件を線分図にまとめる。
② 線分図は簡単な問題のうちから練習する。
③ 線分図には、単位・同時刻マークを忘れない。
普段通われている塾の先生によってはダイヤグラムをよく使ったり、問題によっては式で整理する方が楽であったりということはあります。どの形式であっても大切なことは、「問題文を決まった形にまとめる」ことです。最初から上手に線分図を描けるお子様はいません。まずは「描いてみよう」とする姿勢を評価してあげてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。また次回お会いしましょう。