みなさんこんにちは。受験ドクター国語科の久米です。
国語の講師をしていると、保護者の皆さんから
「うちの子は読書の習慣がありませんが大丈夫でしょうか」
との質問をよく受けます。
そこで今回は、
読書と国語の成績の関係についてお話しいたします。
読書の習慣がなくても国語が得意なお子さんはいますし、
読書が好きで国語が得意でないお子さんも
少数ですが存在します。
それでは、読書は国語の成績と関係ないのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません!
読書をしているほうがテストに有利になります。
その理由は、大きく分けて2つあります。
1点目は、短い文章を集中して読むことに慣れているので、
正しく情報をとらえられることです。
2点目は、様々な文章に触れていることで、
物語文の展開を予想できたり、
論説文での筆者の主張や根拠を
すでに知っていたりすることです。
(2点目については悪い面もあります)
それぞれについて見ていきましょう。
まず1点目です。
読書習慣がなく、文章を読むことに慣れていないお子さんは、
文章の上から下までを目で追うことができず、
自分になじみのある単語だけを拾い読みしています。
その結果、本文の内容の読み飛ばしが多くなったり、
本文にない情報を自分で勝手に作ったりすることで、
誤読が多くなってしまいます。
私は集団塾の講師を長いことやっていましたが、
そのときには読書習慣のない子の
視線の動きには気づきませんでした。
個別指導になって一人の生徒と向き合う時間が増えて、
やっと気づいた次第です
こういうお子さんは、まずは集中力をもって
短い文章を読むことが大切です。
中学入試に出てくる国語の文章量は、
3000字から6000字と言われています。
文字数多めの文庫本で10ページもないくらいです。
国語の成績を向上させるためには、
長編小説を一冊読み切る必要はありません。
物語文にチャレンジするなら、
重松清さんなどの短編集を読むといいと思います。
また、自分の趣味の本を読むのもお勧めです。
野球やサッカーなどのスポーツ、
バレエやピアノなどのお稽古事、
昆虫や動物などについてなど、
自分が興味を持てる本を、15分くらいの短い時間で
集中して読む練習を積んでください。
読み終わった後の
「どんなことが書いてあった?」という質問に、
短い言葉で答えられるようになることが目標です。
読書習慣があり、文章を読むことに慣れているお子さん、
また短い文章を集中して読むことができるお子さんの視線は、
この赤い点線のような動きをします。
文章を上から下までしっかり目で追うことができています。
こういう眼球の上下運動を行う習慣ができているかどうかは、
文章を読むスピードと読み取りの正確性、
ひいては国語テストの成績に大きく影響します。
2点目です。
読書習慣のあるお子さんは、
自分の中に物語のストックをたくさん持っています。
テストのとき初めて読んだ文章でも、
それと近いものを読んだことがあれば、
内容を予想することが可能です。
「ああ、これは田舎の人が都会にあこがれる話ね」など、
テーマの類推も容易にできます。
読書習慣が有利に働くことはご理解いただけたと思います
ただ、このような「当てはめ読み」に頼りすぎると、
自分の想定を超えた文章や
経験したことのない物語が出てきたとき、
失敗してしまいます。
例えば、論説文で、
「生物の種の保全よりも人間の生活レベルの維持が重要だ」
というテーマの文章が出題されたとき、
「環境保護が最優先」という自分が知っている考え方に
こだわってしまうと、筆者の主張が正しく読み取れません
「読書好きで、国語の成績の波が大きい」お子さんは、
「当てはめ読み」でテストを解いているのかもしれません
こういうタイプのお子さんは、
とにかく書いてあることに忠実に読む訓練が必要です。
詳しくは次回のコラムでお話ししたいと思います。
それではまた。
受験ドクター、久米でした。